柳家小三治独演会@赤坂区民センター

久々の落語しかも小三治師匠、更に前から3列目のど真ん中ということで、連日涙目で残業してる人と同一人物とは思えない素早さで定時に会社を飛び出してドヤ顔で青山一丁目に降臨。会場へ一歩近づくごとに、気になっていた仕事(放り出してきてるからね)のあれもこれもどんどん頭から消えて行き、席についた瞬間、2,3メートル先の舞台に用意された座布団を観て「近っ!!」と大興奮!!

聴き慣れた出囃子にのってふらぁ~っと登場した小三治師匠。うおやっぱり近いっ!!そして3列目はちょうど高さが舞台と同じで、もうほんとに小三治師匠の真正面。視界いっぱいに小三治師匠。。。なんか泣きそう。。。

いつものようにゆっくりとお茶をすすり、飄然と会場を見渡す師匠。
熊本地震の話から福島の話、福島出身のご両親の話などなど、戦争中の疎開の話まで飛び出すたっぷりまくらを満喫♪この落語会の企画が立川企画だということで「ねえ、普通はタチカワって読むあれをねえ、タテカワって読ませるってそういうところから既にねぇ、なにか、分かりますよねえ」とか、立川談志柳家小ゑんとして自分の兄弟子だった頃、師匠の小さんとおかみさんにそれぞれ「あいつだけは見習うな」と言われ、「私はずっと、ああいう風にだけはなりたくないって思って今日までやってきました」とか笑、会場大喜び♪

千早ふるは百人一首の意味を聞きに来た八五郎に、知ったかぶり先生がむちゃくちゃなストーリーを教えちゃうと言う滑稽噺で、割と軽めの噺なのでよく前座さんがやってるイメージがありますが、これを小三治さんがやるとこうも爆笑になるかという気持ちよさ。八五郎が短歌を聞かせたあたりからもう先生の挙動不審がスゴイ。質問されてるのに「とりあえずなんだと思うか素人考えでいいから言ってごらん」の一点張りで自分から何も発信しない笑 そしてそんな先生の無茶ぶりに考え込んだり、急展開に口をぽかんとあけたり目ぇむいてみたり、「え!この話ずっと、あの短歌のことだったんですか?!」って最後まで思うままに翻弄されちゃう八五郎さんの愛らしさよ…♡

そして仲入り後、静かに高座に着いた小三治さんはふっと目線を上げ、穏やかな声で「植木屋さん、ご精が出ますな」!!!!!青菜!!!小三治さんの青菜!!映像やCDでは何度も触れていますが生は初めて!しかもこの距離で!と瞠目しつつ生唾ごくり。仲入直後でちょっとザワザワしていた客席が一瞬で静まり全員前のめり。お屋敷で働く植木屋さんが御主人にお酒をごちそうになり、その御主人と奥様の上品な「隠し言葉」のやりとりに憧れて自分も家でやろうとするこの噺は笑い所もたくさんありつつ、水を滴らせた庭の緑の涼しげな描写や、汗を拭きながら冷酒をくいっと飲む様子など、随所に初夏の訪れが情緒たっぷりに描かれる古典落語の名作。ご主人の厚意の冷酒をあおり、初めて食べる鯉のあらいに感激し、下に敷いてあった氷を頬張って後頭部トントンしちゃう可愛い植木屋さんを、小三治師匠が生き生きと演じられていて、会場中が同じ庭で心地よい風を頬に受けたようにうっとりしてました…はぁ・・・♡

たっぷり40分の青菜を満喫し、終演はきっかり21時。ゆっくり降りてくる緞帳の下、穏やかな笑顔で頭を下げる小三治師匠を見て拍手をしながら、もう本当に幸せすぎて涙ぐんでました。私。会場を出て少し冷たい夜気の中で深呼吸した時、なんか久しぶりに肺に空気が入ったような、ほんとうに心身がリフレッシュされて元気が出て来る感じがして、ああやっぱり小三治師匠は素晴らしい!そして落語はいいなあ、としみじみ思いました。やはり仕事にかまけて落語をおろそかにしてはいけませんね。先日来日していたあのムヒカ前大統領が「あなたたちはお金で物を買っているのではない。あなたたちの人生の時間を犠牲にしてそれらを手に入れているのだ。それは本当に必要なことだろうか」というような話をされていましたが、日々仕事に忙殺され、時間が無い無いと色々なことを後回しにする生活を反省しました。大事なものは何か。自分の人生をどう生きるか。忙しさに流されずきちんと考えよう。そしてもっと落語を観に行こう、と強く思いました(結局そこ笑)

体調不良で寄席を休んでいた喜多八さんも5月から復帰♪小ゑんさんも池袋で昼トリだし、寄席も行かねば!!