新宿末廣亭 3月中席 夜の部

金原亭馬生 「長屋の花見
松旭斉美登・美智 :奇術
金原亭馬の助 「権助芝居」
柳家権太楼「家見舞」
=中入=
春風亭百栄「寿司屋水滸伝
三増紋之助 :曲ごま
三遊亭白鳥「スーパー寿限無
柳家小ゑん「鉄の男(序)」
翁家社中 :太神楽
林家彦いち「嘘つきシゲちゃん」

先週まで死ぬかと思ってた仕事が落ち着いてきたので、中入り後のラインナップがカオスと噂の新宿末廣亭ハチャメチャ新作祭り(勝手に名づけた)に昨日行ってきました。百栄・白鳥・小ゑん…!普段はゴリゴリの古典派の私が、たまに遭遇しては笑い殺されそうになっていたこの3人が、あの場末感たっぷりの(褒めてます)新宿末廣亭で揃い踏みなんてこれはもう生きて帰れる気がしない!!

中入前の権太楼さんがまず良かった。TVで観た時には特に可もなく不可もなく…(何様)とスルーしてたんですが、生で観たら全然違った!呼吸、間、声の出し方など、グイグイ客席を惹きこむ威勢のいい波動に巻き込まれ、それまで笑い声チラホラだった客席が一気にドッと沸きかえる素晴らしい一席でした。

彦いちさんは出て来るなり、中入り後の顔付がヒドイですね!と嬉しそうで、初日から今日まで、中入り後に熊さん八っつぁんご隠居さんが一回も出て来てないんですよ!って確かにこの日も父親をダディと呼ぶ寿司の握れない寿司屋とか、古典の改作なんかやるもんか!と息巻きながら「ジュテーム、ジュテーム」と完全寿限無のパクリを演じ切る方とか、玄関に踏切つけてソファー代わりに新幹線の座席を置く鉄ちゃんの夫婦喧嘩とか、そんなんばっか笑(褒めてます)

山男の彦いちさんは公開中の「エベレスト」に山小屋の主人役で出ているそうで、ノックに応えるシーンで「山小屋のおじさんらしく、おじさんらしく」と思い詰め過ぎた結果出てきたのが喬太郎演じるところのおじさんだった、といって喬太郎さんのモノマネで「はい、はい、はい」とドアに駆け寄る様子が秀逸で場内爆笑でした。分かるわーあの喬太郎さんのわざとらしい「おじさん」笑 あと小ゑんさんがラジオからオファーが来たとドヤ顔で言ってきてむかつくという話で「なんかぁリスナーやらないかとか言われてぇ」ってえ、そっち?えどっち?こっち側じゃなくて?えパーソナリティじゃなくて?って笑 伸び上って楽屋の方を確認しながら悪口を言い募る彦いちさんがキュートでした。

中入り後に出て来る人みんな、新作不遇の時代の話とか仲間の話とか今回の顔付は奇跡だとか、なんだかんだ言って嬉しさと楽しさが滲み出ていて、中学生の部活か!ってくらいみんなバカバカしくて元気で仲良しで、また客席もほぼ満席で豪快な笑い声に満ちていて、ほんと場末の末廣亭最高だなって思いました。20日(日)までやってるので、ぜひみんな行ったらいいと思います。いろいろ難しく考えてたことなんか全部「どーでもいいやっ!たのしっ!」ってなります♪

最近会えてない喜多八師匠が私の中での噺家色男No.1なのは変わらないんだけど(40代当時の小三治さんも相当ヤバい)、今回喜多八さんが二人くらい入りそうな白鳥さんとか、じゃがいもみたいな彦いちさんをええ男やな…とか思ってしまったので、近藤勇からコッチちょっと自分の好みが把握しきれていなくて不安です。以上です。(何の報告)