柳家喜多八「文七元結」@ユーロライブ渋谷

二回目のシブラク「ひとり落語」、今月も喜多八さん目当てに行ってきました!

前回は1時間の持ち時間を小~中ネタx3本で駆け抜けた通常運転(?!)だったんですが、今回はネタ出しされていて、なんと大ネタ「文七元結」!師走ということで主催者は当初「芝浜」しばりで企画していたようですが(実際今月他のひとり落語はすべて芝浜(橘家文左衛門 / 立川談笑))、喜多八師匠は「お見せできる域に達していない」と断り「代わりに文七元結なら」となったらしい。喜多八さんの芝浜は去年何度か観たけど、お客さんに色んなこと言われて大変ですよもう…とか愚痴っていたと思ったらふっつりやらなくなっちゃった。そして「修行中」ということになったらしい。私は何の不満もなく大好きでしたが、まあ芝浜は昔からいろんな人がいろんなことを言っているイワク付のネタなので、いわゆる「通」の方はいろいろ言いたいんでしょうかね。まあ、私はそもそも芝浜そんなに好きな噺ではないんですけども。でもいつか喜多八さん自身が納得する「芝浜」が聴ける日を楽しみにしています♪

渋谷で始まった新しい落語会ということで、前回若い人しか居ない!∑(゚Д゚)という異次元体験(←大げさ)をしましたが、今回客層は大分こなれました。通常の寄席に近くなったというか、まあ平たく言うと年齢層が上がったというか。ドリフの笑い屋みたいなおばちゃんの声や、よく分からないポイントで爆笑するおじさんにビビったりしましたが、まあ盛り上がって何より。喜多八さんもだいぶやりやすそうでした。

会場は前回も説明したようにいかがわしいホテル街の真ん中、ということでその枕からまずは艶笑噺「長命丸」。これはもう…がっつり下ネタなのでここでは説明しませんが(笑)ただただバカバカしくて場内大笑い。そんでネタを終えた喜多八さんが「もうねぇ…こんなことでもしなくちゃやってられませんよ。前座さんが居たっていいと思いますけどねぇ、こういう会でも。急に出てきてねぇ、大ネタやれって言われてもねぇ…」と愚痴り出したのでまたまたみんな大笑いでした。そりゃそうだw

そして嫌々と言う風情でw羽織を脱いで始まりましたよ文七元結がっ!
魅力的な登場人物がたくさん出てきて、それぞれ家族愛、奉公人と主人との絆、吉原の女将の想い、などをじっくり丁寧に描きつつ、貧乏夫婦の壮絶な夫婦喧嘩などで笑いもたっぷり。登場人物や場面転換が多く、時間も長いので、ともすればとっちらかってしまいそうな噺でもありますが、さすが喜多八さん、自由自在に登場人物が降臨し、最初から最後まで腰の据わった話運びによどみなく、会場が一体となって堪能したたっぷり1時間でした。最高。「人情噺を、いい噺でしょ?と泣かせるような演じ方は嫌い」という喜多八さんですので、それぞれの人物はあくまで軽く、飄々とした風情すら感じさせますが、それでも、というかだからこそこちらにすっと入ってくる人々の温かい想いが心に沁みて本当に素晴らしかったです。しみじみホロリとしつつゲラゲラ笑ってすっかり身も心も温まった私は、帰り道寒さも感じないくらい幸せでニコニコでしたよっ♪

喜多八さん、11月は4、5回会えたのに(←言い方が気持ち悪いw)、今月はこの1回のみ。
でもその分いつもの3倍くらい濃く充実した時間でしたので、なんとかこれで来月まで命をつなぎたいと思います。これが今年の落語納めだなんて、幸せ過ぎる!

ipodで日々ヘビロテの志ん生小三治に加え、少しずつ他の噺家さんも聴いてみようと図書館でCDを漁り、お気に入りラインナップに文楽柳橋、柳好、志ん朝など(敬称略)を加えることができたのが今年の収穫です。来年は現役の噺家さんでも好きな人をもっと発掘し、より一層充実した落語ライフを送りたい!と高尚な抱負を申し述べて、今年最後の日記を締めくくりたいと思います。

みなさまよいお年をっ♪