李箱「翼」

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最近頭の中を「いまぁ~わたしのぉ~ねがぁい~ごとがぁ~かな~う~な~らば~♪」って流れてくるのなんだろな?って思ってたらあれですね、翼をください、ですね。そしてなぜだろな?って考えたらあれですね、先週読んだ「翼」。

 

李箱「翼」。李箱と書いてイ・サン。しかし読み方に馴染みが無さ過ぎて私の脳内ではいまだに「リハコ」と呼ばれています。なんかかわいい。しかし本人は私にとっては可愛くない(外見は知らない)のであまり近寄りたくないタイプ。

 

ヒモ男と水商売女子の日常を描く私小説風数編、詩作、童話(のカバー)、山村滞在記、東京滞在記、と様々な短編掌編が詰まったこの本は、美しいなとか難解だなとかムカつくわとかええ加減にせえよとかいろんな味がして飽きはしませんでしたが、では面白かったかと言われるとよくわからず、読み終えて「ん?一体何だったんだろ?」とパラパラ見返しちゃう感じで掴みどころが無かった一冊。

 

詩は数字の羅列や象徴的なワードを繰り返すような前衛的な感じで、当時彼を評価していた文学仲間の後押しで新聞に連載されたものの、世間から「頭おかしいやつの文章読ませんな」とクレーム多発で中止になったそう。


わたしはでも美辞麗句で流暢に語られながらそこはかとない腐敗臭が漂ってくるクズヒモ小説群よりも、何言ってるか分からないけど媚びも無く振り切ってサッと差し出されたような詩の方が好きでした。余計なものを全て削ぎ落した潔さ。

 

ヒモ小説群は、なんせ私にヒモに対する理解も耐性も共感もないもんで、ただただ理解不能で苛立たしい。同居する女性が春を鬻いで稼いだお金を彼の枕元に貯めてくれているのを「彼女はなんでお金があるのかな?」と空っとぼけた上、突然そのお金を全部トイレに捨てちゃってからの「僕お金無くて悲しい…お金欲しいよぅ(´・ω・`)」とかほんとまじで直球で「じゃあ捨てなかったら良かったよね?!?!」としか思えん。

 

しかし不意に物凄く美しい一節が現れたりして、そういうところでは突然閃く才能という感じで、「山村余情」はそういう意味でとても美しく、好きな1篇でした。


山村余情
枕元に置いた水をー深海のように落ち着き払った水を飲みます。石英質の鉱石の匂いがして、肺腑に寒暖計を差し入れたように道ができるのを感じます。その冷ややかな曲線は、白紙の上に描こうとしたら描けるのかもしれません。

 

美しいのぅ・・・と読み進んでいくとしかし急に「真っ赤なトンボが病原菌のように活動しています」とか、秋の野を流れる川を「地上の怨恨が溶けて流れる静脈」とか、わたしのノートには「目線が優しくない宮沢賢治」と書かれてる笑

 

滞在記や日記で特に見られるこの透明感と突き抜けたような不吉に明るい文体は宮沢賢治に似て、李箱自身の人生においても作品においても女をとっかえひっかえ寄生して死のうよと誘い実は死ぬ気は無いと言うスタンスは太宰風、そして寄生しつつも抜け出せずお互いに何がしたいのかよくわからなくなってくる蟻地獄のようなクズヒモ小説群は砂の女を彷彿とさせるなと思ったりしました。

 

李箱は1910年、日韓併合直後のソウルに生まれ、家父長制的跡継ぎとして叔父の養子に、そして役人になり、叔父死亡後に役人を辞め作家業に専念、よう分からん女性遍歴を経て結婚した4か月後に奥さんを置いて東京に渡り、神田のおでん屋で飲んでいたところを職質から拘束され体調悪化(結核)で死亡。享年27歳。

 

一読してその魅力がわからず、韓国では今も李箱賞という日本でいう芥川賞のような国民的文学賞としてその名が残っていると聞いても「これが・・・なぜそんなに・・・?」という感想でしたが、解説を読み(訳者:斎藤真理子さんの前書き、解説、後書きがほんと素晴らしかった)、日韓併合下で日本語と韓国語で作品を発表し、その文体を作り上げて行った功績や、その時代の閉塞感の流れに逆らって自由奔放に表現し続けたその意気が今も韓国の人々を魅了しているのだろうと理解しました。

 

たしかに、彼の作品は、悲惨な話でも悲愴感はなく、謎の明るさが通底している気がして、大真面目に見せつつちょっと茶化しているような雰囲気もあり、彼自身の短い人生において、政治的にも、家族との関係においても、限られた自由しか無かった中で貫かれたこの不思議に明るく前向きな精神が、後世の人々を今も勇気づけているというのは納得です。

 

ところで冒頭の翼をくださいですが、今回久々にどんな歌だっけとしばらく頭の中で歌ってみたところ(子供時代の歌ってなぜこんなに覚えてるんでしょうね)翼をもらって飛んで行った先の空が悲しみのない自由な世界という確証はないので、翼じゃなくて「悲しみのない自由な世界になりますように」って願った方が早くない?と思いました。現場からは以上です!ご清聴ありがとうございました!

ホテルニューグランドで大人のお子様ランチ✨

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人事異動の季節ですねえ~。
上司の異動はいいけどその穴を誰が埋めるのか定かでなく嫌な予感しかしないのでとりあえずホテルニューグランドに行くことにしました(唐突)

 

さてここで前回のブログを見てみましょう(唐突2)

 

横浜と言えば私の積年の憧れ、ホテルニューグランド昭和2年創業、ナポリタンもプリンアラモードもここが発祥と言われ、世界からたくさんの著名人が訪れ、私の大好きな作家山口瞳も常連でしたが、ナポリタンもプリンアラモードもさすがの2000円越えだしなかなか敷居が高く未踏の地でした。

 

ということで前回はアフタヌーンティーを満喫して来ましたので、今回は名物メニューの未踏を踏んじゃうぜ〜♫なぜなら色んなメニューをちょっとずつ食べられる「大人のお子様ランチフェア」をやってるから!おお~!!!

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通常メニューだとナポリタン2340円、シーフードドリア3289円、ハンバーグステーキ3795円、合計えーとその多分1万円くらいのメニューが、一皿に大集合してなんと5060円!!ひゃっほー!!

 

レストランは本館1階のザ・カフェ。ケーキや焼き菓子、パンも売っています。平日の13時半頃行って8組(30分)待ちでしたが、受け付け後はLINEで呼び出してくれるので、ホテル内をウロウロし、ショップ見たり、戦前からの歴史を語るパネルや模型をグルグル見てたらあっという間。もっと待つようなら目の前の山下公園お散歩なんかもいいと思います。前回アフタヌーンティーを楽しんだ同フロアのラ・テラスは割合空いていて、今は桜のアフタヌーンティーをやっているようでした。フラッと来てアフタヌーンティーなんてのもいいですね~♪

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席に着きキリっとしたウェイターさんがメニューを開いてくれた瞬間に大人のお子様ランチを!と秒でオーダーした割にデザートで悩む…美味しそうなクラシックプリンが付いてくるんだけど、追加料金でホテルニューグランド発祥のプリンアラモードもしくは期間限定清見オレンジパフェにできる…ぐぬぬ…食後に行ける量のパフェですか?とお前の胃袋知らねえよと思われながらウェイターさんに相談し、パ、パフェで!(ホテル発祥メニュー食べに来たはずでは…)

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まずは春キャベツのスープ!甘くてクリーミーでうまぁ~~しみじみ飲んじゃうね~。
窓から山下公園の緑や行きかう人々をのんびり眺めながら身体に染み渡るスープ最高。

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そしてお待ちかねの美しきプレート!
写真で見るより一品一品の存在感があり、目の前の思いのほかのボリュームにびっくりし、パ、パフェ行けるんか…とちょっと不安に笑

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まずポンデケージョ~♪と食べたらポテト(超甘い)だし、ニンジンもまん丸でかわゆいし、さすが老舗ホテルは付け合せも全力で美味いっすね~。
そして輝くハンバーグを一口。見てこのジューシーな断面。もうねーすっごい肉。美味い肉をこねくり回してギュっとして焼いたみたいなしっかりした肉(あ、ハンバーグってそういうもんか、いやでもなんかツナギを感じないくらいの肉々しさ。)なんか普段言い合いとかして対等に絡んでた幼馴染の男子が夏祭りで不良に絡まれた時に急に助けてくれて「え…いつのまにこんな男らしくなってたの…?」みたいなそういう味(どういう味?そしてストーリーが昭和)

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さてお次は当ホテル発祥ナポリタン。戦後米軍に接収されていた時に、米兵がパスタにケチャップかけて食べてるのを見た当時の料理長が、にんにくやハムや野菜を炒めてトマトソースと合わせ、日本人向けに提供したのが始まりだそうです。ちなみにプリンアラモードは当時米軍将校婦人たちを喜ばせるためにボリューミーで豪華なデザートをと考案されたそう。

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ケチャップべたべたの甘いナポリタンも好きですが、想像以上に上品な風味で、すごい美味しいけど何由来の風味なのかが分からない。なんだろう、なんか爽やかな味なんですよね、がっつり食べる食事!ってよりはこのくらいの量をつまみながら白ワイン飲みたい。別添えのチーズを振ってももちろん美味。なんか一緒に走り回って遊んでた幼馴染の女子が都会に出てっちゃって数年後久しぶりに会ったらめっちゃ洗練されて綺麗になっててドキドキ…、ど、どうやってるのそのお化粧...?みたいなそんな味(どんな味&イメージがワンパターン)

 

そして一番驚いたのがシーフードドリアでした。すっっっっごい美味しい(語彙)。
エビもプリっと入っててピラフ部分も美味しいんだけどあなたこれもうねえベシャメルの味わいがすごいよ(だから語彙)。一匙口に入れて「むぅっ」って声にならない声が出ましたもんね。ベシャメルだけ売って欲しい。そして家でゆで卵とか野菜とか魚介類にかけてグラタンにしたりそのままスプーンで食べてもだいぶ飲めますよ白ワイン(結局飲む)。米が結構ちゃんと入ってたんだけど米1:ベシャメル9くらいでいいわ~。

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ってことで結果すごい満腹になります。パンとかライス付かないのかな?とか思ってた自分に猛省を促したい。なんたる満足感と満腹感なんだ。すごいぞ大人のお子様ランチ✨

 

感動しながらのんびり外を眺めて美食の余韻に浸っていると、素敵ウェイターさんが二回ほど来られて「申し訳ございません、デザートの準備が遅れておりまして、もう少々お待ちください」とのことなんだけど全っ然いいですなんたって今絶賛満腹中なんで。むしろ今すぐ来たら食えないわ、ははは。と思いながら微笑んで頷く大人の余裕かましときました。

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そして先にコーヒーが来たんだけど横にウェイターさんが立った瞬間にいい香りがしてこれまためっちゃ美味いコーヒーでした。あ~でもこれ今来ちゃうとパフェの時ぬるくなっちゃうな~とか思ってたんだけどなんと結局お代わりできたんですよコーヒー。ほんとすごい。感動しかないザ・カフェ。そりゃ「ザ」も付くよね。

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キター!清見オレンジパフェ!!美しい!!なにこの壁!パフェに壁が!とお目目キラキラしてる私に丁寧に説明してくださる素敵ウェイター。壁はメレンゲでした。白い丸いのはふわふわチーズムース「クレームダンジュ」、アイスやジュレやサクサククッキー、清美オレンジの果肉も上にも中にもほぼ一個丸ごとくらい入ってて甘酸っぱい柑橘パフェとして完璧な完成度でした。コーヒーお代わりしてずっとポリポリ食べてたメレンゲ凄い美味しくて売ってたら買って帰りたかった~。

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ということで無事完食し、カフェ入り口で抜かりなくパンも買って帰りました。

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いやほんでパンも美味いんかーい!オニオンブレッドの中身が一品料理レベルでさすがホテルメイド✨四角いのはフロマージュブレッド、上にチーズクリームとさくさくの何かが乗ったパンで「メロンパンのメロンがチーズ」って感じでめっっっちゃ美味い。メロンパンて上のサクサク部分美味しいけどパンだけ部分寂しいじゃないですか。この板状方式だとクッキー部分とパン部分がずっと1:1で安定してて最高。メロンパンも板状にすればいいのに。ふわふわ丸パンに柚子クリームの乗った柚子パンも爽やかで美味しかった〜♫

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あ、忘れてたけどシーフードドリアも当ホテル発祥です。これは戦前にスイス人の初代料理長が体調の悪いお客様の「喉越しの良いものを」というリクエストで即興で作ったらしいです。天才か。

 

https://www.hotel-newgrand.co.jp/origin/

 

1品ずつ全て美味しくて、各品の量的にもほんとこれがベストだったので、期間限定じゃなくてずっとやって欲しいな~。と思ったら年に一度くらいは登場するようなので次回はデザートをシンプルプリンのままにしてその代わりワイン飲んじゃおうかな~♫今から楽しみ~♪

 

https://www.hotel-newgrand.co.jp/the-cafe/menu.pdf

 

大人のお子様ランチは来月末まで。
ドリアやナポリタンはオンラインでも買えるようです(ベシャメルだけ売って欲しい←しつこい)
じゃーねー鼻かみ過ぎて痛いので寝ますねー!ぐうぐう!

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バタフライエフェクト ビートルズとロックの革命

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レッドツェッペリンピンクフロイド、スティングなどなど(音楽疎いので知らないけど名前だけ書いてる笑)、名だたるミュージシャン達がみんなビートルズの曲を聴き稲妻に打たれたようにロックに目覚め、人生を捧げていくエピソードの数々は、ものごころついたときには当たり前のようにこういった音楽が溢れていた私には「そんなに?!」という驚きで、私は今まで彼らの曲とその他大勢のミュージシャン達の曲を並列に捉えて、そこまで突出した何かを感じてこなかったんだけど、そういうことじゃないんだな、ビートルズの凄さと言うのは音楽自体というより(それももちろんあるけど)、それ以前にはなかったものを丸ごと新しく生み出した凄さということなのだなと理解した。

 

「私が17歳でニューキャッスルからロンドンへ出てきた1963年、ビートルズはShe Loves Youを発表し、世の中は突然 可能性に満ちて輝き始めた。戦後の禁欲的な空気が一変した。徴兵制も終わり、初めて若者が自分の人生を自分で決められるようになったんだ。」(ニック・コーン:作家)

 

「初めてビートルズを聴いたのは、中学生の時だった。水泳プールの更衣室に居た。友人とお互いの下半身をタオルでバシバシ叩いてふざけていた。部屋の隅のラジオからLove me doが流れてきた途端、僕らはバカ騒ぎをやめた。それは革命的とさえ言える、刺激的な体験だった。」(スティング)

 

繁華街のライブハウスで酒やたばこを飲みながら汚い格好で演奏していたビートルズを見て可能性を感じ、スーツを着せ、髪型を変えて、お辞儀をさせ、人気を爆発させた同じ街でレコード屋を経営していたブライアン・エプスタインの慧眼も素晴らしい。こういう出会いもすごいよね。

 

労働者階級だった彼らの活躍でイギリスでは階級社会に風穴があき、
1960年代という人種差別真っ只中のアメリカでの公演では有色人種用の席を設けることを断固拒否、地元の白人たちの反発を受けながらも決行し、2万人以上の黒人白人が一緒に熱狂するコンサートとなった。また年上の作曲家作詞家の作る歌を歌うだけだった当時の若いミュージシャン達を自分たちで歌を書いていいんだ、身の回りのこと、自分の感情を歌っていいんだと解放し、社会主義国家とその属国達には自由の風を感じさせ民主化の契機にすらなっていく。すごい・・・

 

「人種隔離なんて下らない。黒人だって他の人たちと何も違わないじゃないか。彼らを動物か何かだと勘違いしている人たちがいるよね?人間を動物扱いするなんてバカみたいだ。僕は自分の隣に誰が座ったってかまわない。僕らは四人ともそう思っている。イギリス人はみなそう考えているし、コンサートでも人種隔離なんてしない。そんなことをするなら僕らは演奏しない。」(ポール 1964年)

 

ジョンレノンは自分たちが何かを変えたのではない、先導したのでもない、みんなと同じ船の見張り台に立って「陸地が見えるぞ!」と叫んだだけだと言うが、自分がその船に乗っていることも、船が動いていることも、ましてやどこに向かっているかもわからない人々にとっては、やはりその叫びはすごい大事な、有難い啓示だったんだと思う。

 

戦後の空気の中でとりあえず国に従い、何をしてよくて何をしたらいけないのかを考える自由もないような感じで日々受け身で生きていた人々に、下らない既成概念は壊していいんだよ、新しい考えを持っていいんだよ、楽しいことはたくさんあるよと旗を振ってくれたってことだろうな。

 

イギリスでは1960年時点で21歳以下から兵役免除となり、その時ジョンレノン20歳、ポール18歳、ジョージ17歳。ここで兵役に取られていれば各地バラバラに配属され出会うことすらなかっただろうというのも、ほんと自分達ではコントロールできない部分での運命を感じる。

 

ジョン・レノンの言葉
僕が気に入らなかったのは、僕たちが何かをリードしているという主張だった。
60年代は”新しい世界を発見しに行く船”だった。
そしてビートルズはその船の見張り台に立っていただけだ。
僕たちは「Land Ho!おーい陸地だぞ!」と叫んだ。それだけだ。
僕たちが何に貢献して何に貢献しなかったか僕にはわからない。
人それぞれビートルズから受けた影響の度合いは違うだろうしね。
言えるのは、僕たちの世代が全員で60年代という船に乗り、
新しい世界へ行ったということだ。

バタフライエフェクト 砂漠の英雄と百年の悲劇

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バタフライエフェクトパレスチナ問題の回を観る。
アラビアのロレンスと英雄視されている人が、実は自分の果たした役割を嫌悪して終生悔やんでいたとか、太古の昔から様々な人種・宗教が混在しつつも共存してきたパレスチナで、イギリスがその資源(石油=アラブ側)や戦争資金(ロスチャイルド家イスラエル側)のために二枚舌外交をしてその地域を壊滅的な紛争地域地していってしまう経緯がほんとうに先進国の罪の大きさを見せつけていて恐ろしかった。石油の価値をいち早く見抜き自国への利益に動いたチャーチルはさすがだけど…ねえ…

 

欧米先進国からイスラエル側へ建国許したり諸々優遇する配慮は、ヒトラーの虐殺の贖罪という意味合いが大きいが「それは私たちの罪ではない」というアラファト議長の発言もごもっとも過ぎて…完全にとばっちり…

 

インドのダイヤを追え、の本で、同じように混沌の中でみんな幸せに生きていたインド社会にその豊富な埋蔵宝石を目当てに乗り込んで蹂躙&略奪の限りを尽くしたイギリスを思い出して、ほんと、まあ社会の発展の歴史としては避けられないことなのかもしれないけど、にしても、やはり先進国たちのやりかたは酷いと暗澹としちゃう…(と言いつつその恩恵にあずかって生きてる自分…)

 

『コ・イ・ヌール 美しきダイヤモンドの血塗られた歴史』ウィリアム・ダルリンプル,アニタ・アナンド
https://bookmeter.com/reviews/114140750

 

自分たちの周囲しか見えない限られた範囲の中でバランスしていけばよかった時代から、どんどんその見える範囲が増えてきて、国境とか国家とかを明確にして国際社会というものができてくる世界全体の流れの中では、カオスにバランスする地域がそのまま存続するのは難しいし、その自国から外へ向かっての発展度が国や地域によって全くちがうから、早い者勝ちな世界史の中では自国内で充足して幸せに暮らしている地域程不利な気がする…非常に不公平で理不尽…


日本も鎖国から開国させられたけど、単一民族で分断しようがないし、その割に昔から国内で領土争いみたいな、ミニ国家の争いがたくさんあったから、海外勢にもうまく対抗できたのかな。。。やられっぱなし、全部取られちゃうみたいなことにはならなくて良かったよね…

 

「……」ばかりでまとまらないけど、まとめようとか完成度とか考えてると面倒になっちゃうのでまあええやんとぽんぽん書いていこうかなと思う今日この頃ふふふ🤭

 

ホテル✨ニュー✨グランド✨神

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10年ぶりくらいで行った横浜で自分史上最高のアフタヌーンティーに出逢いましたのでここに謹んでご報告申し上げたいと思います✨なお感動のあまりタイトルはもちろん本文中も随所で語彙が崩壊しており「✨」の多用も散見されますが諸兄諸姉におかれましては何卒諸事情および筆者のIQご賢察の上よろしくご放念下さいますようあらあらかしこ。

 

突然ですが私は抹茶は好きですが抹茶スイーツに興味がありませぬ。別にくれれば食べますが自ら選びません。理由は特になく興味が無いだけです。ということで、アフタヌーンティーに行きたいのにこの時期ってなんでどこも抹茶縛りなの~2023初夏!に流れ流れて東京からはみ出し横浜へ。

 

横浜と言えば私の積年の憧れ、ホテルニューグランド昭和2年創業、ナポリタンもプリンアラモードもここが発祥と言われ、世界中からたくさんの著名人が訪れ、私の大好きな作家山口瞳も常連でしたが、ナポリタンもプリンアラモードもさすがの2000円越えだし両方食べても多分お腹いっぱいにならないしとなかなか敷居が高く未踏の地でした。ところが、きっとアフタヌーンティーもお高いんでしょう?と調べてみたら美しきバラのアフタヌーンティー🌹メニューもビジュアルもさすがのイメージ通りハイクオリティの割にお値段は意外に都内よりもお安くてこここれは!!!と遂に足を踏み入れることに💕

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アフタヌーンティーは12時スタートですが、当日はお日柄もよく、最近遠出もしてないことだし思い切ってもう早朝7時現地着くらいで行って山下公園近くのカフェで海を見ながらのんびり朝食でも取っちゃう~?と前夜に色んなカフェの開店時間とか調べまくり寝て起きたら8時でしたので普通に納豆ご飯を食べて10時半に山下公園に到着。平日は空いてていいねえ〜♫

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しかし晴天はいいけど道すがら台風かな?というくらいの強風にびっくりしてヤフー天気に聞いたら風速6m。海辺の6m。それはあれです、山下公園のあの海沿いのベンチでニコニコ座ってる私に突然「ざっぱーん!」とコンクリに打ちつけた波が風に乗り全身に霧のような飛沫を浴びせるレベル(実話)。憧れのホテルニューグランド行くためにおめかしして来たのに濡れてる場合じゃないので、ちょうど満開を迎えているバラ園に移動しお花を愛で、噴水の周りをうろうろし、帽子を飛ばされて右往左往する一団を眺め、芝生で走り回る保育園児達に羨望の眼差しを注いで…たらもうあっという間に12時💦真っ青な空と太陽の下で過ごす午前中、最高でした☀(嬉しくていろんな角度からのホテルニューグランド😆)

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ああ憧れのホテルニューグランド…もちろん本館入口から参りませう…あの美しき大階段を眺めませう…はああ~この重厚さ…青い絨毯…用もなく上ってみた先にはレトロなエレベーター。素敵…✨

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中庭をぐるっと回り込むように廊下を歩いた先に、目的地のラ・テラス✨(12時オープンなのでまだ無人✨)

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はああ~美しい…。家具調度の美しさはもちろん、お花や鏡、席やテーブルの配置も完璧で、決して広い部屋ではないのに優雅に広がる空間、周囲に人を感じず自分達だけの声しか聞こえないような居心地のいい、ゆったり寛げる空間でした。クッションもふっかふか~♪ふおぉ~~~♪

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飲み物は紅茶とハーブティ、コーヒーから選べる飲み放題(言い方)。最初に出てきたホテルご自慢のオリジナルブレンドがまずもうめっちゃ美味しい!ポットで持ってきて席でカップに淹れてくれるのですが、もうその時点で紅茶の香りがこう…ふぁあ~っと広がってお目目がぱぁあ~~っと開きます。全種制覇を目指しましたが結局7種中5種。白眉はやはりオリジナルブレンドと、大好きなアールグレイがめちゃくちゃ美味しかった。アールグレイは逆に注いでもらってる時はそんなに香りを感じなかったのに、口に含んだ瞬間に口の中と鼻から抜ける香りにびっくりした。ほんとに。

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スイーツもセイボリーもスコーンも全部美味しい。そりゃそうですよねホテルニューグランドだもの✨

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見てこのキラキラ輝くバラのゼリイ(昭和の文豪風表記。斜陽のスウプ的な🥣)花びらもお召し上がり頂けますとのことでしたが同行者が「にっが」って言ったので私は食べず😆。ゼリイ部分は爽やかで美味しかった🌹

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アフタヌーンティーの生ケーキってちっちゃい上にみんなずっと喋っててなかなか食べないからパサツキがちですが、このリンゴのショートケーキはリンゴがシャクシャクでさっぱりした甘さとしっとりスポンジで味も食感も完璧。すごい。

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その代わりこのサーモンが載ったパンは放置され過ぎてパサついてました(自業自得)。お隣のソーセージのキッシュはしっかり食べ応えのあるクリーミーさでこれもまた紅茶に合うのがほんと感動的。別料金で注文できるシャンパンとかにも絶対合う。

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3段スタンドと同時に温かい状態で供されるスコーンはプレーンとブルーベリー&紅茶。いきなりスコーン食べる気になれず最後に食べたけどクロテッドクリームとジャムのおかげで冷めても美味しかった♪

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ラ・テラスから出られる中庭もこの美しさ✨
噴水のある風景ももちろんいいけど、中庭側から見るホテルの姿もレトロでとてもいい。海を眺める山下公園側の部屋もいいけど、中庭の見える部屋も良さそうですね~✨いつか泊まりたい✨

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アフタヌーンティーもおしゃべりも中庭も堪能して気づけば14時半過ぎ。それでも「お代わりいかがですか?」と聞いて下さる気配り🥹

ホテルニューグランドアフタヌーンティー自体ももちろん素晴らしかったけど席の設えやスタッフの皆様の対応から感じる、お客様に心地よく楽しい時間を過ごして欲しいというホスピタリティが何よりも素晴らしく感動しました✨私のベストアフタヌーンティーここにあり〜🥰

 

インドを味わうアフタヌーンティー🇮🇳

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Mumbaiでインドアフタヌーンティー満喫してきたー✨ムンバイと言ってもインドに行ったわけではなく、日本で一番インドに近いインドレストランのMumbaiです!(どういうこと?)わかりません!だってお店がそう言ってるから!!

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インドにアフタヌーンティーがあるのか知りませんが、友達が見つけてくれたこのお店、1階はカジュアルな感じのレストラン、2階がゴージャスな内装のサロンとなっていて、ロイヤルアフタヌーンティーは2階で頂けます✨キラキラ輝くシャンデリアの下、青を基調としたお洒落なインテリアとインド人(多分)店員さんに囲まれて異国情緒にうっとり〜✨

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ロイヤルアフタヌーンティーはミニバーガーを始めとしたセイボリーと、ミタイと呼ばれるインドスイーツで構成されており、ミタイは決まってるメニューの他に好きなものを2つ選べるのだけど、メニューを見ても未知過ぎて全然イメージが湧かず、ひよこ豆のお団子?人参とミルクのしっとりお菓子?スポンジチーズボール?え?スポンジなのチーズなの??と全然決められない🤔それを見越したお店のナイス配慮「甘さや食感のチャート」を見ながらようよう決めるも、注文した瞬間に名前も自分が何を選んだかもアヤフヤになり断片的な単語だけ漂う脳内パニック!うははは超楽しい🤩

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ドリンクはマサラチャイ(お代わり自由)、コーヒー又は紅茶(お代わり自由)とあり、ん?どれか一つってことかな?じゃあチャイだなと紅茶とコーヒーのチェックを入れず(ミタイとドリンクは注文用紙スタイル)友達とキャッキャお喋りしてたら、注文書回収に来た店員さんが見て「チェックない」と去ってしまった😅(店員さんは笑顔無くタメ口だけど終始めっちゃ親切😊)。??となりつつ取り急ぎチェック入れてようやくオーダー完了すると、おもむろにポットを手に店員さんが現れ無言で「ジョボボボボ」とチャイを淹れてくれて「お、おう…?!」となる。結局分かったのは、チャイは全員強制飲み放題。その他にコーヒーや紅茶が選べて、それも選んだ物により飲み放題、らしい(ハーブティーとかはお代わりできないかも。あと追加料金でワインもあった🍾)。しかしずっとチャイを飲んでるのに選んだドリンクは一体いつ供されるのだろう…?と謎は尽きない。さすがこれからの世界を担うと言われる国、名だたる企業のトップの座を占めつつある人材の宝庫インドのアフタヌーンティー、片時も脳を休ませてくれない...!はあはあ(謎の息切れ)...ま...まだ振り落とされないぞ...食らいついてやる...!(まだチャイしか飲んでないからね)

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いやほんでこのチャイがむちゃくちゃ美味くて一口飲んで友達と顔を見合わせて瞳孔の開き具合で感動を伝えあいました。呼ばなくても回ってきて惜しげもなくジョボボボ注いでくれるワンコチャイ状態で、しかも何杯飲んでも(一体何ℓ飲んだのだろう🤔)スパイスの強弱やバランスが全く変わらない安定感にも感動。帰宅後調べたらお店では大鍋でゴンゴンとチャイを沸かしているそうで、チャイのスパイスミックスの販売もあったので、今度ぜひ買って作ってみようと思います。

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(どうしよう、こんなに書いてまだチャイしか飲んでない、、、)

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(↑この二枚はネットより)
まずテーブルに準備されているのはウェルカムドリンクとお洒落なパールの小物入れに入ったマサラナッツ。カシューナッツに絡む衣にガツンガツン効いてるスパイスが油断するとせき込むくらい本気&結構辛くて、これはワインだね~といいつつ優しい甘さのラッシーともいい相性💕

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そして真打登場〜✨上段はセイボリー、まずは「はじまりのパ二プリ」グラスの上に載ってるカリカリ食感の入れ物にグラスのスパイシードリンクを注いで口に放り込む!らしいよ!帰宅後知った!私たちは逆にカリカリを無理やり砕いてドリンクの中にギュウギュウ押し込んでスプーンで食べてた!🤣    他の席でドリンクだけ残っているのが見えて「なぜ…?」と思ってたけど謎が解けました。そうかみんなカリカリに入れきれなくてスープ残してたのね。勘違いとは言えうちらはスプーンで余さず美味しく頂いたので、食べ方こっちの方が正解では…?カリカリがスープでフニャフニャするのも美味しかったし。ただカリカリを手で砕くのが固くて難儀したけど(そもそもその前提で作ってないからね🤣)

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黄色く立ってるのがひよこ豆とハーブのケーキ「ドークラ」。ふわふわスポンジかな?の予想に反し手に持つとずしっと重く、スパイスがじんわり染みてほのかに酸味もあってくせになる味🐥

 

ドークラの手前のカシューナッツが載った座布団みたいなのが「ハラバラケバブ」。ほうれん草入り緑のミニコロッケって感じでホクホク美味しい🥬

 

そして奥に見える小鉢が豆と香味野菜のさっぱりサラダ「ムングモートゥサラダ」。シャキシャキ食感もよくスパイスも効いてていくらでも食べられるので「ドラえもんに入れ物ごと5倍くらい大きくしてほしい」といって友達に笑われる😋

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メインは別皿で来たインド風コロッケバーガー「ワダパオ」。開けると緑のモニョモニョが入ってて「とろろ昆布?!」とざわつくも正体分からず(友達が調べてくれた気もするけど忘れちゃった💦)パンがふわふわで美味しかった。

下段がインドのスイーツ「ミタイ」達。

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奥の小鉢が「ムングダールハルワ」説明読まずに食べて「なんか和菓子っぽい」と言ったらお豆を砂糖で煮たものだったので正解。優しい甘さ~😊

 

「ベイサンピンニ―」はちっちゃいシェルが4つ乗った四角い小皿。食べて友達が「落雁」と即断してた通り、ほんとホロホロちょっと粉っぽい食感も舌の上で溶けていく感じも落雁で「ひよこ豆とギ―(バターオイル)を練り上げた」とあるのでこれも正解。好き😍

 

その手前にあるのがインド式クッキー「ナンカタイ」「なんかかたいね」とか言いたくなるダジャレ警報注意食品(何それ)。そしてほんとにちょっと固い😆サクサク食感ではなく、ボロっと崩れる感じが独特でした。味は普通にクッキー。チャイが進む(水分持ってかれるので笑)

 

羊羹みたいな円形スライスが「デーツ&ナッツバルフィ」2つ選べるミタイで私と友達が選んだ砂糖不使用スイーツ。デーツの甘味とねっとり食感にナッツがゴロゴロ入ってて切らずに恵方巻きスタイルで一本食べられる美味さ😋(長さ知らないけど)

 

その手前ピカピカ揚げ餃子みたいなのはアップルグジヤ、ヒンドゥー教の春のお祭り「ホーリー」に欠かせないインド版アップルパイ(季節限定)と書いてありました。お店が趣向を凝らして考えた季節限定メニューをちゃんと選ぶのって素敵だなと人が頼むたびに思う✨(私は常にそういうの全部無視する利己的注文者なので😅ということでこれはお友達のオーダー😊)

 

で、餃子の左奥が私の頼んだ「ラスマライ」ミルククリームソースと楽しむカルダモン香るスポンジチーズボール、って何を言ってるのか全然わかりませんが、甘いミルクに浸ったカッテージチーズ団子(言い方)という感じで私は好きでした。メニューの中で貴重なたんぱく質💪

 

お豆や芋が多いのでお腹にたまり、でも苦しいほどではなく、選べるミタイで激甘を選ばなければ甘さも程良く優しい味で、全てがちょうど良い(終盤に供されたコーヒーまで抜かりなく美味しかった☕)✨スパイスだけは全部本気で物によっては辛味もあるので人によってはそこだけ注意かもしれませんが(私は大好き💕)わんこチャイだけで元取れてそうな4000円というお値段も素晴らしく、絶対また行きたいくらい気に入りました〜✨

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調べたら通販も充実しててとりあえずマサラナッツとチャイとデーツのやつは欲しい🤩アフタヌーンティーセットもあるみたいなのでゆっくりおうちで楽しむのもいいですね!チャイは有限だけどね!😆

 

【常温品通販】

https://mumbaijapan.stores.jp/?_gl=1*iz0ce2*_ga*MTMxMzIxMTE4OC4xNjc5NzQwNzgz*_ga_8RLDMYVT90*MTY3OTgyMzQ1Ny4yLjAuMTY3OTgyMzQ1Ny42MC4wLjA. 

【冷凍品通販】
https://coolmumbai.stores.jp/ 

理想的最終形態ソーネチカ✨

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まず表紙が可愛い♡
ロシアね、うんうん寒いもんね、雪深いイメージに赤いニット帽可愛い♡
左足をひょいっと前に出してる姿もなんか楽しげ♪

 

と読みだして、本の虫いいじゃんいいじゃん♪ ん?ソーネチカ可愛くないの?そんな言わんでもよくない兄貴...え?狂気?狂気の様相を帯びる読書ってどんなん…?お、戦争か…疎開ね…とちょっとずつ表紙ほど呑気で楽し気な話ではないのかも…という感じだけど、ずっと心を掴まれたままスイスイと読まされてサラッと終わってしまい、本を閉じて、自分の中で何が起きたのか全く把握も言語化もできてないけどすごいものを読んだ…す、す、好きだ―!!ソーネチカ先輩マジ凄いっす!おれ先輩みたいになりたいっす!理想っす!おれの理想最終形態ドンピシャっす!と語彙力が中2くらいになりました。

 

内容もさることながら、全編を通して文章の美しさにも酔いしれました。訳者の方の素晴らしさでもあると思いますが、ソーネチカとロベルトの出会い、プロポーズ、新婚の二人が語らう夜の描写、ソーネチカの授乳、幼いロベルトの立ション(!)、アトリエでのヤーシャとロベルト、ヤーシャの白さ、、、ほんと挙げるときりがない。それ自体分かり易く万人が見て美しいシーンではないんだけど、それを心象から丁寧に掬い取り、的確な表現で読者に伝える描写力、文章力がすごい。情景がキラキラと輝きながら音楽も鳴ってるくらいの豊かさで立ち上がり、こちらの胸に響いてくる。立ションをこんな美しく書ける作家は世界広しと言えどもリュドミラ・ウリツカヤくらいではないでしょうか(要らん評価)。どの本にも一か所くらいは美しいシーンてあると思いますが、美しいシーンが次々に奔流のように押し寄せてくるというのはなかなか経験が無かったので、そういう意味でもずっと感情を揺さぶられる素晴らしい本でした。

 

結局そうなのよ、家族って。(急に誰)家族って、もう家族じゃないですか。それはもう揺るがないし、逃げられないし、コイツ無理だからチェンジで!とか、この境遇無理だから転生で!とかできないわけですよ。受け入れるしかない。そして人って、多分、純粋な受容体としての能力で行ったら、受け入れることって可能だと思うんですよ。でもやはりそこには「他人が見たらどう思うか」「普通はこうあるべきじゃない?」「自分はこうありたい!」みたいのがあり、それらが乗っかった意識域で捉えたらそれはもう断じて受け入れられません!アーもう無理無理お前何を言うてんの何してくれてんの頭おかしいんかアタシは認めませんからねっ!!、みたいな拒絶や懊悩がそこで湧き上がってくる。

 

もちろん自分はこうありたい!やこうあるべき!は向上心や道徳観念にも繋がるかもなので必要な部分もあると思う。でも他人が見たらおかしいのでは~や正当な理由のない普通はこうでしょ~はハッキリ言って要らないよね。邪念といっても過言ではない。ソーネチカにはこの邪念が無い。目の前に起きたことをそのまま捉えて受け入れ、その中でのベストを自分の頭で考えて行動していく。自分にとって辛いことでも、相手にとっては素晴らしいことなのだ、と切り分けて考えられるクールさ。その上で自分はそれをどう捉えてどうしたいか、しかない。美しい。なんてシンプルで美しく正しい姿なんだ・・・と思うわけです。私はそうなりたい。けどなかなかなれない。つい自分の考えを押し付けて勝手にイライラしたり断罪したりしようとしてしまう。から、そこにソーネチカ大先輩の偉大さを感じました。まあ先ほどの向上心など現状を良い方向に変えて行こうとする考えは、一般的には持った方がいいとは思う。けどソーネチカの時代&境遇では、あまりそこを頑張っても明るい未来はなさそうよね、と言うのもあり、ソーネチカはそこまで考えて選んでいる道ではないと思うけど、それも含めてソーネチカの生き方は大正解だと思いました。

 

しかしこの生き方は、部分的には習得できるけど、根本的に100%スッとそうなれるかと言ったらなれませんわな(急に誰パート2)人がどう思うか、普通はこうだろ!はもう反射みたいなものだから、その反射が起きた上で私はそれに惑わされずこの道を行くのですグヌヌ…まではいけるかもだけど、ソーネチカはまずその反射すらないから。全くそこを思わない。え?私のしてること何かおかしいですか?どこが?って感じ。「ソーネチカには静かな狂気を感じる」という感想がありましたが、それはこういうところかなと思います。崇高な狂気。理解を越えた、人智を超えた感があるから。赤ちゃんの頃から狂気を帯びた読書をしちゃうソーネチカだから、やはり生まれ持った才能というしかない。

 

ということで(まとまらないので放り投げる時に便利な接続詞)、ソーネチカは全然可哀想ではない、というのが私の結論です。読む前に「可愛らしくてなんか楽しげ♪」と思った表紙絵は、読んだ後に見ても「いろいろあったけどなんだかんだ結局楽しげなソーネチカ♪」って思います。この表紙絵を「ロベルトのアトリエでヤーシャとの関係を察した後の帰り道のソーネチカの心象風景」と言う読み解きを聞いて、アトリエを出てふと立ち止まり、雪が積もってるのかと思ったけど緑溢れる5月だったっていう描写も大好きだった私は「なるほど!」と感動し、そしてそうであってすら「すっかり空っぽになり、軽くなった」ソーネチカはこの風景の中を帰り、本を読み、幸福に満たされるわけですから、やはり「楽しげ」であるわけなのです♪

 

1点だけ、ワタクシごとですが、事前に読みながらスマホに音声入力で気になった箇所の感想をじゃんじゃん垂れ流してメモってるのですが、ヤーシャ=業者、ターニャ=糖尿、ソーネチカ=そーね、千夏、で頑なに終始学習してくれないスマホのせいで、あとから整理するときに「は?!?!」ってなり感興が削がれたのは残念でした(特に引っ越しの場面は「引っ越しの時に業者が…」ってハマりすぎててヤーシャだって気づけなかったわ!笑)