ヤン・シュヴァンクマイエル 「悦楽共犯者」

9/17~30までユジク阿佐ヶ谷で開催されている「チェコアニメの夜」。毎晩20:30~色々なプログラムを上映していて、先日はクルテクに会いに行ってきたわけですが、昨夜は知る人ぞ知る、チェコの頭おかしい映像作家、ヤン・シュヴァンクマイエルの「悦楽共犯者」を観てきました。

シュヴァンクマイエルは以前プラハに行った時の下調べで知り、友人達からも色々噂を聞いていたのですが、結構グロテスクで容赦ない表現というイメージが強く、主張の強すぎる映像苦手なのでちゃんと観たことはありませんでした。で、今回も実は悦楽共犯者にはそんなに興味なくて、何が目当てかってこの間クルテク観た時にドハマッた仕掛け人眞部 学さんのトークショーが観たくて行ってきたのです。

結果、悦楽共犯者オモシロかった!!眞部さんが上映前に「エロくないんです、いやエロい感じのシーンもありますけど、でもそういうんじゃないんです。みなさん人に言えない癖とかってありますよね?僕もあります。えーと、人に言えるレベルのやつだと…そうだな…(人に言えるレベル…とブツブツ言いながら悩む)…あのボクは食器を洗う時に、洗い場を泡だらけにしてからじゃないとお皿をキュキュッと拭けないんですっ!(←意味不明)そういうことです。だからそういう映画です。爆笑コメディなんです!」と言っていましたが笑、まさにそういう映画です。(眞部さんの人に言えないレベルのやつめっちゃ気になる笑)

登場人物それぞれのフェチは、まあ分からんでもない→よう分からん→超絶意味不明とバラエティに富んでおり、でも全員に共通するのはその性癖にかける情熱。自分の生きる一刻一秒が全てそこに向かっていると言っても過言ではない傾倒ぶりが鬼気迫る感じなんだけど、いかんせんやってることがバカバカしいので笑えます。
ふわふわの毛皮で全身を撫でられたい、とかデカい魚の入ったバケツに素足を入れたい、とかはまだいいとして、パンの柔らかい部分を日中ひたすら丸め続けて、出来上がった大量のそれを夜自分の部屋で…という女性の性癖(みなさんぜひ自分の目で確かめましょう笑)は、恍惚として寄り目になってる彼女には悪いけど全く意味不明でした笑。

主人公が寝食忘れて必死に作るニワトリの被り物は彼の性癖に大事な役割を果たすんだけどその完成度がすごくて、大笑いしつつもなんか感動。この映画にサブタイトルをつけるなら「アホの一念岩をも通す!」で決まりだと思います。眞部さんが「毛皮フェチのおじさんがうっとりすると必ず同じクラシックみたいなのかかるでしょ、この映画5回くらい見るともうあの音楽だけで爆笑できるようになります」って言ってましたが、5回は無理だけどもう一回くらい観たい。そんで観た人みんなで語り合いたい。

上映後お待ちかねのトークショー
10代からシュヴァンクマイエルファンという女性をゲストに迎えて、眞部さんは司会進行のはずなんだけど、ゲスト置いてけぼりでしゃべるしゃべる。チェコアニメの仕掛け人としてチェコにも頻繁に行っている眞部さんはシュヴァンクマイエルとも旧知の仲ということで、当年とって82歳のシュヴァンクマイエルが新作を準備中なんですよ、というところまでは良かったんだけどその資金をチェコの国費申請していてなかなか許可が下りないという話から「シュヴァンクマイエルには君達がお金出してくれないからとか言われるけどだってあのおじいさん映画作ってもグッズ作らしてくれないしプロモーション全然協力してくれないし全然資金回収できないんですよ!以前うちの会社で出資して回収できたの十分の一だったんですよ?!ボク会社に訴えられるかと思いましたよほんとに」とか悲壮な顔でマシンガントークしてくるのでほんと笑いすぎてお腹イタイ。

「この間行った時、過去映画のポスターとかポストカードとか在庫無いか聞いたんだけど、あの人たち(シュヴァンクマイエルと周囲のおじいさんスタッフ達)そういうの全然興味ないから『そんなの数十年前に捨てたよ』とか言われてなんで数年前の映画のポスター数十年前に捨てるねん!絶対嘘やろ!ってなって頼み込んで屋根裏部屋探さしてもらったらめっちゃ出てきたんです。そしたら法外な値段で売るとか言い出しておじいちゃん達との交渉めっちゃ大変だったんです。あとでぜひ見てみてください!」って言うので爆笑しつつ同情してポストカードだけ2枚買ってきた。

チェコアニメの夜、まだあと一週間くらいやってるので、興味のある方はぜひ(上映内容は日替わりです)。眞部さんほんと面白いのでトークショーのある日に行くのをお勧めします(映画だけでもトークショー付いても1300円!)前回連れて帰ったクルテクと、うちに居たウサギ君のサイズ感がオカシかったので、今回ウサギ君(大)も連れて帰りました。ウサギ君達のおしりの可愛さよ♡♡♡

あと、ユジクのお姉さんに美味しいですよと教えてもらった近くのカフェ、店員さん愛想ゼロだけどソーセージもマッシュポテトもほんと美味しかった。今度ケーキも食べてみたい。食後にアップルシナモンティー飲みながら店内の雑誌読んでのんびりできたしオススメです。