鯛焼きのゼントルマン@国立演芸場

入船亭遊京 「堀の内」
入船亭扇遊 「三井の大黒」
柳家喜多八 「もぐら泥」
瀧川鯉昇   「二番煎じ」

大好きなこの会、毎回季語が冠されるタイトルは今回「鯛焼き」で、三人三様ピタリとはまったチラシがなんともキュート♪扇遊さんの「鯛焼の顔が鯉昇さんというのがリアル。きっとアマゾンの奥地にああいう魚が居るに違いない」というコメントに妙に納得。チラシのように川面からピョンピョン跳ねてそう!くわばらくわばら笑

入船亭遊京さんは11月に二つ目に昇進したばかりということですが、いい感じに肩の力が抜けていながら、いつのまにか客席をうまいこと巻き込んでいく技量(?)に感心しました。そんで枕で結構笑いを取り、噺に入って二言三言元気よく発したと思ったら「あ、入り方間違えちゃった」といって仕切り直しで客席大笑いだったんですけどあれ計算なのかな。計算だったらすごいなと勘ぐってしまうのは自己紹介で「遊京の京は、京大卒の京です」と聞いたからなのかしら。そういえば前座さん時代「あいつはあれで京大卒なんですよ」なんて師匠方にからかわれていたなぁと思い出し、あの頃は真顔で寡黙に(当たり前だけど)座布団を返したりしていたのに今じゃこんなにヘラヘラしちゃって!と感慨深い(褒めてます)。また見てみたい二つ目さんでした。

いつ見ても歩く姿も座る姿も所作も端正な扇遊師匠。今日も美しい。そしてそのまま端正な(?)噺へ。この噺、初めて聴いたけど落語界ほんとに左甚五郎好きねえ笑。伝説的大工(彫刻家?)左甚五郎が身分を隠してある大工の家に住み込んでから身分がばれるまでの顛末記と言う感じで、笑いどころは多くないけど、江戸時代の職人の世界をじっくり味わえる滋養ある一席って感じ。もうトリでいいんじゃないかってくらいに隙無くきっちり演じて高座を下りる姿は神々しくさえありました。

足を痛めている喜多八師匠は緞帳が上がったらもう座っているという「板付き」で登場。
夏頃から体調を壊され、どんどん痩せて行くし足引きずってるしと心配しつつもここのところ忙しくてなかなか会いに行けず、そしたら入院するという噂を聞いて今日は泣きそうな気持で会いに来たので、姿を見た瞬間、あぁまた痩せたなぁ…顔色もよくないし(これは前からか)…とつい悲しい顔になっちゃう私。しかし本人はどこ吹く風で、扇遊師匠の高座を「一席目でああいうのやるかねぇ。おれああいう噺大っ嫌い。水戸黄門じゃねぇんだから」と言いたい放題で「こっちだって名人の噺してやるんだ!」と始まったのがまぁ泥棒の名人芸、なのかな「もぐら泥」という噺。悲しい気分だったはずなのにどんどん噺に惹き込まれて結局いつも通りゲラゲラ笑っちゃってああ喜多八さん、大丈夫だとなんだか安心しました。もぐら泥、喜多八師匠で初めて観たけど地面を掘って泥棒に入ろうとする間抜けな男も、奥さんの無駄遣いをなじりながらソロバンをはじく渋い旦那も、泥棒を見つけて協力(?)する酔っぱらいも、全部喜多八さんだった!!笑 来週あたりから2週間「太るための休養入院」をするそうで「小三治一門の忘年会に出なくて済む」と憎まれ口を叩いてみせる喜多八さんだけどやっぱり淋しいよぅ・・・(ノω・、) 元気になった喜多八さんに会えるのをアタシ待ってる!ずっと待ってるから!!(←コワイ)

で、トリは鯉昇さん。・・・・・・鯉昇さん、太ったよね?笑 ピッカピカの笑顔で、体重が落ちなくて医者に痩せるように言われて困ってる、と話し出し「でもこの話、今日は楽屋でできなくて」ってコラ!笑 でもいつだったか体調不良で寄席を休まれたりしていたので、お元気そうで何よりですほんと。二番煎じは冬の夜、寒さと闘いながら「火の用心」と町の夜回りをする旦那衆が規則を破り酒を飲み鍋まで食べ出した所に見回りの役人が現れて…!のドタバタ滑稽噺。ちょうど今朝の通勤時のお供が金原亭馬生師匠の二番煎じだったので、その世界と重なったり、ディテールの違いを味わったり、二倍楽しめました♪夜回り中寒さのあまり懐からいかに手を出さないで済ますか、で内輪もめする旦那衆がほんと最高で、懐に拍子木を詰めた旦那の「拍子木も寒がりなのっ!」という必死の形相に大笑い。

淋しいけどこれが今年の落語納めかなぁ…今年は仕事にかまけてあまり落語に行けず、本末転倒だったなぁと反省しきりの帰り道、国立演芸場近くの本屋でかわら版の最新号をチェックしたらこんな素敵なサンタさんに会えて即買い&一人でその場でフハッ!と声を出して笑ってしまいました。元気づけてくれてありがとう喬太郎サンタ!