この落語家を聴け!『柳家喜多八』@北沢タウンホール

三遊亭わん丈「やかん」
柳家喜多八「七度狐」「親子酒」「お直し」
柳家喜多八インタビュー(聞き手:広瀬和生)

落語評論家:広瀬和生さんが主催している「この落語家を聴け!」という会で、今回は喜多八さん!下北沢なんて7~8年ぶりなんだけど、喜多八さんのためならなんのその!!「んもぉ~言われなくても聴いてるってばぁ~(≧∇≦)」と、脳内喜多八師とイチャイチャしながら会場へ(←バカ)

ホールは小さめの市民会館風で、会場はそんなに大きくない。椅子も古くてちゃっちいんだけど、割と前後のスペースが広いのがいい。20分くらい前に席に着くと、隣に座っていたおじいさまの視線を横顔にめっちゃ感じる。どうしよう!わしが落語と出逢ってから今日まで、みたいな壮大なお話が始まったらどうしよう!とドキドキしてたんだけどそんなこともなく。どうやら私越しの入り口付近に視線釘付けで、入ってくる人達をずっと眺めていらしたようでした。

七度狐、山の中で道に迷った二人連れが、ポツンと建つ尼寺を見つけ泊めてもらおうとするところからのスッタモンダなんだけど、二人連れの弟分が色々ツボで。尼寺に男性は泊められないと渋る尼さんにひたすら丁重に交渉する兄貴分の横ではしゃぐ弟分。なんとか泊めてもらえることになり尼さんが案内に先に立つと「兄貴!兄貴!どうする?尼さん一人!俺たち二人!どうする?男二人に女一人!・・・・・・・じゃーんけーん!」と満面の笑みでこぶしを振り上げて兄貴にどやされるとかw 人間以外にも色々出てきてとにかく賑やかで楽しい噺。喜多八さんのこういうはっちゃけ噺大好き。

3席も聴けて大満足!なんだけど全て聴いたことある噺、っていうのがちょっと残念。七度狐に至っては8月→9月→10月と3回目w でも何回聴いても大笑いなんだけど。喜多八さん自身が前に「気に入ると続けてかけたくなる性質なので、この間聴いたよって方も居るかもしれないけど、まあそれはそんなにしょっちゅう来る方が悪いんでね」と言っていたのでその通りです、ハイw

しかしこの日はいつも以上の熱演でした。動作も大きくくすぐりも多めで終始テンション高く、いつもの気怠い高座に慣れている身にはちょっと違和感を覚えるくらい。主催者の広瀬さんがとにかく普段から喜多八さん大好きでべた褒めなので、気合が違うんでしょうかね。はしゃいでいるような喜多八さんが微笑ましい(←何様)

最後は広瀬和生さんと喜多八さんの対談。広瀬さんて初めて見たんだけど、金髪ロンゲのガタイのいいおじさんでビックリ。あとで調べたらもともと音楽業界の名物編集者で、落語好きが高じて落語の評論もやっているということで納得。しかしこの人と小柄な喜多八さんが路地裏とかに居たら、完全に「カツアゲされてる!」って思っちゃうな。

お直しはなんといっても志ん生が有名なんだけど、古今亭は絶対門外に教えてくれないから、志ん生の娘さんを通じて搦め手でなんとか教えてもらった、とか、黒門町文楽師匠には芸人として大切なことをたくさん教わった、とか、小三治の名前は欲しいかと広瀬さんが聞いたり、貴重な話をいろいろ聞けて面白かった!

対談中、喜多八さんはいつもの高座での「おまーらこんなの観にまた来たの?ああダルイ…」(←勝手な解釈w)というようなしたたかで肝の座った風情は影を潜め、「こういう素でしゃべるっていうのはどうもね…」と終始照れくさそうでソワソワしてましたw 志村けんが昔、お笑い以外の番組に素で出るのはキツイのでつい扮装したりメイクしたりしちゃうと言っていたのを思いだし、「やっぱり芸人さんはその芸を楽しむべきであって、あまり公衆の面前で素を引っ張り出すようなのはアレなのかもな」とも思ったりしました。でも貴重な機会なので、こういうのあると行きたくなっちゃうんだけどね。まあ師匠もなんだかんだで嬉しそうにお話されていたのでよかったよかった♪