9/2(火) 落語睦会 夜霧のゼントルマン @国立演芸場

柳家喜多八「笠碁」
瀧川鯉昇 「蛇含草」
入船亭扇遊「井戸の茶碗

大好きな国立演芸場で、大好きな3人の会。
景気よくはためく幟に迎えられ、薄闇に浮かび上がる提灯も美しい玄関を一歩入ると、館内には赤いじゅうたんが敷き詰められ、何とも言えない風情に早速うっとり。そして富士山を描いた重厚な緞帳があがるとそこには、美しい、本当に美しい檜の舞台。

そしてそこにいつものようにヨレヨレと登場するのはわが愛する喜多八師匠。舞台がどこであろうとブレないその姿勢、素敵ですw 笠碁は、喜多八さんの師匠小三治さんのさらに師匠、落語家初代人間国宝の五代目小さんの渋い高座がつとに有名。小さん・小三治両師のは映像で観たことがありましたが、喜多八さんのは初めて観たので嬉しかった。もともと素直じゃなく、悪い笑顔で憎らしいことをぼやくのが魅力の(←勝手に決めつけ)喜多八さんですので、碁の一手で大喧嘩し強情を張ってなかなか仲直りできないおじいさん達がイキイキと降臨。くるくる変わるその表情に魅了され、場内大笑いでした。特に高齢の男性陣の哄笑が響いており、やっぱりあれですかね?共感するんですかね?

鯉昇さんはちょっと前に体調を崩され、高座を欠席されていたので心配でしたが、元気そうで何より。毎朝「調子はどう?」と声をかけてくれる奥さんの優しさに感謝していたら、「今日は大分いいようだ」と答えた瞬間に「じゃあゴミ出してきて」と言われたとw おかげさまで週に3回、生ごみをきちんと出せるまでに回復しました、ってどこを目指しているのかw 蛇含草は初めて聴きましたが、そば清のお餅バージョン。そばよりお餅の方が「固体感」が出るので、サゲが活きるなあと思いました。ひたすらお餅を食べ続ける主人公を鯉昇さんが演じると、あの大きな目をギョロギョロさせながら四苦八苦してお餅を飲み込む様子とか、こんなに伸びる~!と餅を伸ばしてから「よっ!」と楽しげに食べる様子とか、ほんと最高。

最後はいつ観てもピシッと伸びた背筋が美しい扇遊さん。
井戸の茶碗は、滑稽話というよりはイイ話系なので(喬太郎さんは別w)、ちょっとリラックスして聴いてたんだけど、みるみる引き込まれて前のめりで聴き惚れました。扇遊さんの端正な語り口と優しい表情から醸し出される穏やかな空気の中で、不器用なまでに実直な登場人物達が鮮やかに浮かび上がり、心が洗われるよう。素晴らしい。繰り返しが多く、笑いどころが少なく、ともすればダレてしまいがちな噺だと思いますが、最後まで引き込まれじっくりと堪能させていただきました。ええはなしや~(涙目)

いやほんとこの睦会大好き。
今回初めてちゃんとアンケート出して「先行予約情報欲しい」にチェック入れといたので、次からはもっと近い席で観られるといいな~♪