柳家喜多八 萬金寄席@新富区民館

柳家ろべえ「転宅」
柳家喜多八「宿屋の富」
柳家喜多八時そば
柳家喜多八「睨み返し」

いや最高。
今年一番良かった会。

落語会行く前に立ち食いそばで(といっても座りますけどw)腹ごしらえ。寒いし、喜多八さんの会だし、ここはやっぱりかき揚げ蕎麦っ!師匠の流儀にならって箸をグーで握り、かき揚げを真上から「成仏しろよ…っ!」とつゆに押し込み、あとはズルズルぷはーっ!で美味しゅうございました♪

宿屋の富、喜多八さんのは初めて。
ウソ八百を並べて金持ちを騙って宿に泊まった貧乏な客に宿の主が富くじを売りつけるところからのドタバタ。富くじの当選発表にウゾウムゾウが集まる場面では、夢で二等が当たるとお告げを受けたという男が、500両当たったら吉原で女を身受けして一緒に暮らすんだという妄想を延々語るんシーンがあって、志ん生版の飄々とした語り口でふわふわ~っと夢を語る男も可笑しくて大好きなんだけど、喜多八さん演じるところの「一生懸命夢を語る頭のネジのユルイ男」が大真面目で熱くて最強だったw 大きな声で自分の名前と出自を述べるところから始まり「いやそんなこと聴いてねぇんだけど」とか言われつつ勢い衰えず気が済むまで妄想を語り尽くすっ!場内大爆笑でした。喜多八師匠、ノリにノッてるという感じで表情・語り口・仕草全て間断なく躍動し、全身で引き込まれて時を忘れる素晴らしい一席でした。

喜多八さんのうどん屋は何度か観てますが、時そばは初めて。「これはあんまりやらないんだけど今日はね…」と師匠。この萬金寄席は公民館の一室で30人くらいの会なんだけど、どうやら師匠はここで試しに気になるネタをかけてみて、そこから色々な会でかけて様子を見ていくというのをよくやっているらしい。前にここでかけた七度狐も、あの時はイマイチだったけどその後どんどん化けてね、結構今は気に入ってるしね、と。「またおんなじネタだったー」とかブウブウ言ってたりしたけど(すんません)、そうか、逆にネタの微妙な変化を追いかけて行けば興味深い観方ができるのかもしれないな、ってそんな審美眼ないけどっ!w くそまずいそばを食わされるくだりが最高でした。ほんとに太くてゆですぎのそばがニチャニチャと口に詰まっているようにしか…!

そして年の瀬といえばこの噺、睨み返し。大みそかに押し寄せる借金取りを主に代わって「言い訳屋」が追い返す噺なんだけど、その方法がなんと「無言で睨む」(言い訳屋なのにねw)。そこに借金取り立ての代行屋が現れて、この闘いの勝敗の行方は…?!みたいなw っていうか喜多八さんのは全然睨んでなくて、ただの寄り目&半笑いのアブナイ人なのがいつ観てもツボ。去年もこのネタここで観たなぁ。と去年の日記見たら、それが私の萬金寄席デビューだったのでした。(http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1916644933&owner_id=59535342)

少人数ながら、みんなの師匠を大好きな気持ちが部屋に充満して心地よく、みんなでワハハと笑える大好きな会。最後に珍しく師匠が改まって頭を下げ「今年も一年ありがとうございました」と挨拶されたので驚いた。(この会は3か月に一度なので次は来年なのです) 席亭も歳だし、自分もいつどうなるかわかんないけど、来年一年くらいはまだやれるんじゃねえかと話しているのでまた来年もどうぞよろしくお願いします。ってなんか感動して泣きそうに。こちらこそ!と心の中で呟いて頭を下げてから、大きな拍手で師匠を送りました♪いやぁほんと、いい夜でした♪

いやそれにしても11月はよく行った!週一で喜多八さんに会うというハイペースに、落語家と会社員という生活時間帯の違う二人がこの頻度で会うという情熱、これはもう付き合ってると言っても過言ではないのでは…?!と言ったら後輩に冷たく「リコさんが一方的に予定合わせてるだけですから」って言われました。……あっ!ほんとだ!(←バカ)