5/21(水) 落語睦会 新茶のゼントルマン @国立演芸場

瀧川鯉昇 「へっつい幽霊」
入船亭扇遊「ねずみ」
柳家喜多八「お直し」

鯉昇さんは真面目な顔と穏やかな語り口で突拍子もないことを言うので、いつも枕が楽しみ。
同行者にもちゃんと説明してあったんだけど、不意打ち過ぎてツボにはまったようで大爆笑。つられて私も大笑い。それはいいんだけど、そのツボが思いっきり下ネタだったので、会場では「若手」の私達(しかも女子)が下ネタで誰よりも爆笑してるっていうのはどうなのかしら・・・とちょっと心配に。

扇遊さんのまくらでは、途中おもむろに羽織を脱いで袖に投げ、昔は交通事情が悪かったので次の演者が来ていないこともよくあり、こうして投げておいた羽織を前座がスッと取るのが「来た」という合図。それまではつないでいなければいけませんでした、と昔あるある。かと思いきや!「はい、そういうわけで今日まだ喜多八さんが来ていません」て!!場内大爆笑でした。「そもそも池袋と半蔵門でですよ?同じ時間に始まる落語会を二つ受けます?」ってまさかのダブルブッキングの模様。その後羽織が下げられたようで「あ、来たようですね」と(笑)
ホッとしたように始まった本編は「ねずみ」。後妻と番頭の裏切りで自分の宿屋を乗っ取られた男が、幼い息子と細々と小さな宿屋をやる噺。悪人どもをアッと言わせる思わぬ展開も愉快だし、最後のねずみのセリフが可愛くて好きな噺なんだけど、扇遊さんのはとにかく子供が可愛くて健気でグイグイ引き込まれてしまいました。今日イチ。

笑いを含んだ拍手に迎えられた喜多八さん、悪びれもせず「ここ国立演芸場は3年後に建て替え工事が始まっちゃうそうですから、そうしたら池袋芸術劇場でやることにすれば池袋で他の仕事やっても間に合うからいい」とかシレっと言い出す始末。素敵♪時間も時間ですからさっさとやりましょうと始まったのはなんと「お直し」!お直しと言えば五代目志ん生が「文部大臣賞」を取ったことで有名。「廓の噺で大臣が賞をくれるなんてどうも、不思議なことがあるもんですな」と志ん生が言っていましたが、遊郭で売れなくなった女と客引の男が一緒になったはいいが亭主の遊蕩でどんどん落ちぶれて行き、最終的には亭主が客を引いて妻を売るまでになってしまうという、なんともやるせないストーリー。それが夫婦のやりとりで切なくも可笑しく表現され、笑った後になんだか夫婦っていいなあとまで思わされてしまうのが落語の不思議なところだなー。