11/6(水) 喜多八膝栗毛 秋之噂 @銀座 博品館

柳家ろべえお菊の皿
柳家喜多八「蛙茶番」
柳家喜多八「首提灯」
仲入
太田その&松本優子「唄と三味線」
柳家喜多八「芝浜」

「蛙茶番」
のっけからのバレ噺(笑)
素人芝居の舞台で舞台番(舞台端から客席を静かにさせたりする役)になった男が、客席に来ているはずの好きな女にいいところを見せようと、着物をまくり上げて自慢の褌を見せつけながら目立とうと獅子奮迅の働きをするが、実は肝心の褌を締めるのを忘れていた、っていう(笑)なんて分かりやすい、直接的な下ネタなのか(笑)
「ソレを見ちゃった人」のリアクションが秀逸で、ほんと喜多八師匠の「ビックリ仰天」の演技はいつ見ても素晴らしい。ビクッとする肩や手の動きもさることながらあの顔っ!ほんと、魂が抜かれたかのような茫然とした表情(魂消る、ってやつですね)が最高で大笑い。場内(特におじさま方の)哄笑が響き渡っておりました(笑)

「首提灯」
夜道で武士に無礼な態度を取り、首を横一文字にスパッと斬られてしまった男はしかし、あまりの切れ味に斬られたことに気づかない。歩いていくうちに徐々に首が横に向いて行っちゃったり、ズレちゃったり、落ちそうになったり。いやぁこれ、落語というよりもはや上半身だけのパントマイム。こういう噺もあるんですね~子供とか大喜びしそう。額と顎をを両手で支えて横向きから正面へ一生懸命直そうとする、困り顔の喜多八師匠が脳裏から消えない…(笑)

「芝浜」
…泣きました。いやもちろん大仰に演じて泣かそうとなんか全然しないし、いつものように飄々とした語り口で淡々と進みましたが、だからこそ引き立つ夫婦の情ってやつですね…。酔っぱらいのダメ亭主は言わずと知れたいつもの「名演」で、しっかりもののおかみさんとの会話で笑わせますが、終盤、大晦日に全て打ち明けた後で、おかみさんが亭主のために酒を買いに出て帰ってくるなり「あんた、いま白いものがチラチラ…」といい笑顔。亭主も優しく応えて「おおそうか、いい春が来るねぇ…」とか、亭主が盃を持った手を口に近づけてふと耳をすまし「ああ、鐘が鳴ってらぁ…除夜の鐘か…」とフッと微笑んだり。んもぉぉ~!この夫婦素敵過ぎっっ!!と身悶えしたいような素晴らしさでした。しみじみとしたいい年の瀬の気分を味わうことができました。(って実際まだ二か月あるけどね)


ところで、前回ここで観た時には全然思わなかったので、今回だけの何か問題なんだと思うんだけど、なんと「声が聴こえにくかった」。私は真ん中辺の列でしたが、特に仲入り前の3席はたまにボソボソしゃべるくだりとかで「…え?え?なんて?」ってなったりして非常に残念でした。
衣食足りて礼節を知るとはよく言ったもので(?!)、「聞こえるか聞こえないか」みたいな状況で「聞き取る」ことに必死になっちゃうと、「その内容を味わって楽しむ」という部分が手薄になってしまう感じで、なんか不完全燃焼(客席で完全燃焼しなくていいって話ですが)
蛙茶番はともかく(笑)、首提灯は喜多八さんの動きと表情が遠目でも素晴らしかったので、もっと近くで一言一句逃さずゆっくり味わって観たかったと心残り。いつかまた観られますように!

あ、ちなみにろべえさんはこのくらいの音量でちょうど良かったです(笑)(←鳥越寄席の日記参照)