喜多八膝栗毛 夏之噂 @銀座 博品館

初対面の柳家喜多八師匠に惚れて参りました~(のっけから(笑))

いやぁ落語の巧さ、面白さはもちろんですが、あの肩の力の抜けた佇まい・やる気のない(?!)雰囲気が相当好きです。先日こちらも初対面でハマった喬太郎さんとはまた違う角度から、だけど同じくらい大好きになりました。

会場は博品館劇場@銀座。初めて行きましたが、すごくいい劇場ですね。
ビル一階の小さな扉から入り、エレベーターに乗り込む。
操作盤の前に立ったご婦人が博品館劇場の8階を押し、みなさんは?、というように乗り合わせた人々(ほぼ満員)を振り返ると、全員無言で各自微笑んだり、頷いたり。かくして静かに扉は締まり、一路8階を目指すのでした(笑) ああいまこの箱の中には、喜多八師匠への愛が静かに溢れているのだなぁとしみじみ感じつつ上昇することしばし、8階に着くと2歩で劇場入口。入口入ってそうだな~15歩も歩くともう客席への入り口。
客席は381と小さな会場ですが座席は割とゆったりしていて居心地が良く、落語が始まると劇場全体の温かい一体感が感じられました。

前座の歌太郎さん、メリハリがきいていて臨場感があり、楽しかったです。
飯炊きの権助さんが秀逸。目に浮かぶようでした~

喜多八師匠「天災」
枕では、まあ暑くて来たくなかったとか、なるもんがなくて落語家になったとか、飄々を通り越した気怠いような空気をまといつつ言いたい放題(笑)。しかしそのまま始まった天災は、ちょっとトチリが多かったです(笑)小三治師匠の天災を(CDで)よく聴いていたのですが、あれ?あそこ抜けてる、とか。言葉の言い間違いとか。結構噛んでたし。八五郎のブッ飛んだ江戸っ子ぶりは爆笑もんで、全体としては十分面白かったんですが。
力の抜けた、俺はやってもやんなくてもどっちでもいいんだ、というような師匠の雰囲気は大好きですが、そこはやはり落語を完璧にやってこそだと思うので、ちょっと残念でした。

てっきり2席聴いたので仲入りかと思ったら、師匠再登場にビックリ。
そのまま2席目の「愛宕山」。
幇間が最高ですね。「私が的っ!」で爆笑しました。
ああでも旦那も最高。あのなんていうか企んだような「悪い」笑顔がハマりすぎです、師匠(笑)「お前すごい芸を持ってるなぁ~えぇっ?!(悪い笑顔)」素敵。
2席目のアタマでは、1席目のトチリを反省しきりでした(笑)
メモしてあとでどこが違うとかやる人居るんだろうな~コワイな~とか言ってました。

仲入り後、小円歌さんの三味線漫談。
これ、感動しました私。すごいわ~三味線一つで客席と対峙し、間断なく歌い、しゃべり、客席をいじり。また話し方が優しくてほんと下町の気さくなおねえちゃんという感じで聞いてて気持ちよく、楽しいひと時でした。人前に出るの苦手な私は同じ女性ということもあり尊敬の眼差しで観ていましたが、漫談を終え三味線を置いた小円歌さんは、更に驚くことに「一曲踊らせてください」と楽しげに言い放ち、すらりと立ち上がり「かっぽれ」を披露。踊りも指先まで綺麗に揃ってキレがあり、まじカッコよかったっす!(←急に熱血後輩風)

最後は「抜け雀」
愛宕山で力使い果たしてもう疲れちゃったよ、と言いながら、熱演(笑)
人が良くて一文無しばかり泊めちゃう亭主を叱るおかみさんが、あんたは人を見る目が無い、と罵るところで「そんな目ならもう取っちゃってあとに銀紙でも貼ってたらいい」がツボ。ギンガミって(笑)志ん生はこういう時「そういうのはバカ目と言ってね、おつけの実にして食っちゃうよりしょうがない」とか言ってましたが(笑)どっちも大好き。

3席も聴けて、三味線漫談に感動して、大満足の夏の夜でした。
今宵の夏之噂を噛みしめ、さっそく秋之噂に耳をすましながら、
なんとかダマしダマしこの大嫌いな夏を乗り切りたいと思います!

あ、いまさらですが添付した写真は3秒以上見ると酔います(笑)すんません。
写真撮りたい人でごった返す中、撮り直すのもアレだったもので…(言い訳)