暗闇坂ってもう名前からして・・・

暗闇坂の人喰いの木」(島田荘司)を読みましたー。
自分で選んだわけではなく、たまたま手に入ったので読んだのですが、なかなか面白かったです。
しかしまあ相当なオドロオドロしさですよこれは。
実在する坂(江戸時代の処刑場の跡地)を舞台にした不可解で不気味な連続殺人事件!
樹齢数千年の楠の周りに死体がゴロゴロ!木が人を喰う?!猟奇猟奇!という感じです。
(なんて雑な説明!)
夢野久作あたりがこの題材で書いたらそれはもうものすごいことになると思いますが、
島田荘司描くところの御手洗探偵は(初対面でしたが)、とてもドライでスマート、
軽妙といってもいいくらいの空気で話が進みますので、とても読みやすいです。
まあ、いろいろと無理やりなところもありますが、とりあえず大量の伏線はすべて回収され、
納得の行く(そして想像をはるかに凌駕する)真実が明かされます。
しかしその軽妙さゆえに、スイスイーッと読めてしまうのがちょっと不満。
私としては森博嗣の「すべてがFになる」シリーズのように、緻密で重厚なミステリを「どうだどうだ!すごいだろ!緻密だろ!驚いただろ!」と言うふうに書かれた方が「すごいすごい!」と鼻息が荒くなりますので、島田さんにももうちょっと読者を煽って引き込んで頂きたかったですね。
まあ私がただの乗せられやすいバカってことかもしれませんけどね(笑)

しかし分厚い。文庫にして600ページ超。……重いっす。
まあなんでしたっけあの妖怪の人、えーとそうそう京極夏彦か。
あのシリーズに比べれば「まだまだ」なんでしょうけども。。。
でも面白いのであれば、長いのはむしろ本読み冥利に尽きるってのもありますね。
絶対面白いだろう!という超分厚い本を前に、紅茶など淹れて一服し、
両手をこすり合わせて含み笑いをしながらジロジロと表紙を眺める午後、
というのはある意味至福。。。(変態か!)
御手洗探偵はシリーズがあるみたいなので、また読んでみたいです。