伊丹十三 特別番組

今日15時からNHKで伊丹十三 特別番組をやってました♪

1)『こだわり男とマルサの女 ~宮本信子 天才との日々~』

2)『こだわり男とマルサの女 ~伊丹十三 お葬式への道~』

1)では、宮本信子さんが語る伊丹十三との日々、二人の子供たちを含めた家族4人の暮らしが、湯河原の住まいを舞台に描かれていました。
役者さんを使った一家の日々の再現ドラマと、宮本信子さんの語りとで構成されていましたが、どちらも目線が温かく、観ていてすごく幸せな気持ちになりました。
しかし子供達への容赦の無い理論立った教育がすごいですね(笑)教育に一本筋を通すのはもちろん大事なことだと思いますが、でも、筋しかない。みたいな(笑)伝える内容に余裕とか遊びとか、それを子供の感受性を傷つけないようにオブラートに包んで通そうというような配慮は、一切なし。ついに二男がストレスで自家中毒になり、説教の途中で吐いたりしちゃって、お医者さんに「ストレス・緊張にさらされることによるもの」と言われ能天気に「あいつにそんな状況あったっけ最近?」と不思議がる伊丹十三。「あなたでしょ!」とキレる宮本信子。しかしお料理にもうるさく、煮物の里芋がきちんと下ごしらえされていないと言って箸をつけないとか、奥様は本当に大変だったろうなぁと思いました。

2)では、1)のその後~初めての映画を撮るまでをやるのかと思ったら、なんか内容が1)とかぶっている部分も多くて、構成的にイマイチでした。これ伊丹監督が観たらダメだしすごいのでは(笑)まあでも現役の映画監督たちがどのように影響を受けたかを語ったり、当時一緒に仕事をした仲間がエピソードを語ったり、彼のお父様であり偉大なる映画監督の伊丹万作との確執などは興味深く、面白かったです。
あと「伊丹十三の本」で見た彼の日用品やお気に入りの品々、湯河原の家の光景などが、再現ドラマで実際に生活の場面として見ることができて、なんか嬉しかったです。そうそうこの冷蔵庫の前が指定席って言ってたけどなるほどこういうふうに座って過ごしてたんだ、とか。

私は伊丹十三の文章とそこからにじみ出る考え方・人間性に惹かれ、
彼の本は繰り返し繰り返し、それこそ暗記するぐらい読んでいるんですが、
「ヨーロッパ退屈日記」のあとがきで山口瞳伊丹十三を評した有名な一文「私は彼と一緒にいると『男性的で繊細でまともな人間がこの世に生きられるか』という痛ましい実験を見る思いがする」については、正直そこまで共感はしていませんでした。なぜなら彼の書くものにはいつもユーモアがあり、大人の余裕があり、必死さや悲壮感などとは無縁にみえたからです。でも今回前述のような子供との接し方やその他仕事場での様子などを、宮本信子さんが具体的に色々話されたり、再現ドラマに描かれたりしているのを観て、実生活ではじつはとても不器用なところのある人だったのかもしれないなと思いました。彼の内面・才能的な部分ではもちろん不器用とは程遠いんですが、それを自分以外の者に対して表現していく、伝えていくという部分ではエッセーのようにユーモアを交え軽妙に飄々と、とはなかなかいかなかったのかな、と思い、初めて山口瞳の意見が胸にストンと落ち、なるほどと納得しました。

伊丹十三を演じていた役者さんが伊丹十三記念館もレポしていて、伊丹十三が子供のころに書いた絵や、例の「犬の歯を抜くために茹でた大根を与える絵」などに嘆声を挙げていましたが、それを観ていて改めて記念館に行きたいなーと思いました。

たまたま昼寝から覚めてTVをつけたらやっていてびっくり。
観られて超ラッキーでした!!