プラハ旅行記(12/28~1/3)5日目&最終日~美しすぎる図書室~

ということで2015年の元旦!海外では大みそか深夜まで大騒ぎ→元旦は午後から始動というのがお約束なので、いつも通り6時半に起きて元気いっぱいレストラン行っても全然人居ない。むしろ静かでいいわとモリモリ食べて9時前にホテルを出ると、街にも見事に人気なく、そこここに残る色とりどりの紙テープや金銀の紙吹雪などが昨夜の喧騒を偲ばせる。雨が降ったのか、清掃車が撒いた水なのか、人気の無い路地の濡れた石畳が美しい。

 普段観光客で溢れかえっている場所も今なら空いているだろう!とまず向かったのはプラハの一大観光名所「カレル橋」。ヴルタヴァ川(ドイツ名:モルダウ)を挟んだ両岸(プラハ城地区と街の中心地区)を結ぶこの橋は14世紀当時ヨーロッパ最大の土木工事と言われ、完成までに約50年を費やしたとか。予想通り人影まばらな橋には名物の露天商(似顔絵描き・お土産売り・楽器演奏者など)も見当たらず、静かな空間に川の音が気持ちよく響いていました。橋から見る川は予想以上に雄大で美しく、橋の欄干に約1mおきに建っている聖人像や対岸にそびえるプラハ城を眺めながら、ここはもうずっと昔から何も変わっていないのだろうなぁと、日本ではなかなか味わうことのできない悠久の時の流れに感動しました。

 欄干に並ぶ聖人像の一番人気は「聖ヤン・ネポムツキー」。王妃の懺悔の内容を話せと迫る王に逆らい処刑された人で、処刑後投げ込まれたこの川から5つの星をまとって浮かび上がり聖人となったそう。…なんだけど私的にこのエピソードの主役は「ゲスい王様」で、あとは「懺悔聴く係の人が秘密守るの当たり前じゃね?」と思ってしまいイマイチ崇拝に共感できず。と言いつつ、「彼の像の台座に触ると幸せになれる」というジンクスにはちゃっかり乗っかり、そこだけみんなに触られ過ぎて金色に輝いているレリーフをペタペタ触ってきました♪(ちなみにプラハ城内聖ヴィート大聖堂の中にあった2tの銀で造られた墓は彼のもの) あと注目はフランシスコ・ザビエルの像。去年ポルトガルでもザビエル像に出会い「ハゲてないハゲてない!」と大騒ぎした結果、日本人が知っているザビエルの絵は絵師の「想像図」だった、という事実に驚愕しましたが、やはり今回のザビエルもフッサフサでした。そして「彼に教えを受けた東洋人たちが足元で彼を支えている」とのことなので足元をジロジロ見て、腰に刀を差した日本人風の人にきちんと敬意を表して来ました。

 次の目的地は二つの美しい図書室が有名なストラホフ修道院。ここはプラハ城よりさらに高台の地区なので、大金払って使用しております3日券で (まだ罰金を根に持っている) トラムに乗り、最寄りの停留所までグイグイ登ってもらう。しかし拝観開始時間まで近くでランチでも取ってゆっくりしよう~♪という思惑に反し近くに何もなかったため、結局急坂をだいぶ下りたところのレストランでランチをとり、またその坂をヒイヒイ上って戻るという大誤算…し、死ぬ…

 修道院では入場チケット以外に写真撮影用チケットを購入し、「カメラOK」のシールを胸に貼って入場。中では「シールなしカメラマン成敗してくれるわ!」みたいな非常に険しい顔をした小さなおばあちゃんが数人目を光らせており、シールなしで撮影してる人はめっちゃ怒られます。しかももうチェコだから驚きませんが(←色々根に持っている)、撮影していると睨みつけるような顔でいちいち「おい!」と声をかけてきて、シールを乱暴に確認するとサンキューでもなくプイッと行ってしまうという繰り返しで、なんか心が疲れます。まずこのおばあちゃん達を修道院に入れて欲しい。でもおばあちゃんが横を向いてる隙にパチパチ撮るチケットなし撮影おじさんとの攻防とか、フラッシュが光った瞬間にすかさず「NO FLASH!!」と叫んで周囲を睨みつけるも撮影者を特定できず悔しそうに諦める様子とか、だんだん面白くなってきて、周囲を巻き込んでいろんなところでフラッシュたきたくなりましたがガマンガマンw しかしこの写真チケット制度、プラハ城とかでもあったけどいまいちメリットがよく分からない。こういうチェックおばあちゃん達の雇用のための制度なのかしら。

 っておばあちゃん達を見に行ったわけじゃなくて、ここの見どころは「神学の間」と「哲学の間」という二つの図書室。神学の間には聖書や神学関係の本、哲学の間には哲学・天文学・数学などの本が揃っており、合計20万冊以上の蔵書が自慢。ヨーロッパでは修道僧の修行の一環だった写本、蔵書の中にも3000冊もの写本が含まれているそうですが、印刷技術が乏しく本が貴重だった時代に、本の内容を学べるうえに複製もできちゃうという一石二鳥の素晴らしい修行方法だなぁと思いました。そしてこの二つの図書室がもう!あまりの美しさに見た瞬間息を呑み言葉を失いました。部屋には入れず、入り口から中を覗くだけなんだけど、それでも荘厳な雰囲気に圧倒され、ああ…私もここの修道僧としてこの中で一日中写本をして生きていきたい…とうっとり♪特に哲学の間は、人の頭上をはるかに超す高さまでびっしり詰まった本棚の上に、更に天井までの本棚を擁した二階部分まであって壮観!本棚や二階の回廊部分には優雅な装飾も施されており、天井の絵まで美しいという念の入れよう。あの長いハシゴに上って本を取り、本棚の間から差し込む陽の光で終日本を読んで過ごす私…(写本はどうなったんだw)など妄想も膨らみ、いつまで居ても飽きない、今回の旅行で一番感動した場所でした。もっと近くで本棚や本の背表紙をジロジロ見たり、天井まで詰まった本に圧倒されたりしたいので、入れないのがほんと残念。でも一度入ったら出てくる自信がない…(そういう人が多いから入室禁止なのかも…)

 感動醒めやらぬままうつろな目でヨロヨロと修道院を後にし、次に向かったのは「ヴィレトルジュニー宮殿」。昨日美術館を観たチェコ出身のデザイナー、ムハが晩年に描いた超大作、人の背丈を超える巨大な絵、計20点にも及ぶ「スラブ叙事詩」を観に行きます。フランスやアメリカなど海外で活躍したムハが、晩年故郷のチェコに戻り、スラブ民族(中欧・東欧あたりの人々)の壮大な歴史を国民のために絵で表現し、伝えたいという思いで描いたものらしいです。

 トラムに乗り、「ヴィレトルジュニー宮殿前」という停留所で降りたんだけど、見回してもどこにも「宮殿」らしき建物が無い。お城のような外観の建物に目星をつけあれかな?と近寄ってみると教会だったり、関係ない建物だったり、という繰り返しでどんどん停留所から離れ、気づくと30分経過。起伏の激しさに足も悲鳴を上げ始め、もうさっきの停留所からトラム乗ってホテル帰っちゃおうかな…と停留所目指してトボトボ歩くことまた30分。結局停留所からぐるっと1時間歩き回って戻ってきた私の目に飛び込んできたのは「Veletrzni palac(ヴィレトルジュニー宮殿)」の地味な看板!!なんとバス停の真ん前の近代的な普通のビルでした。「宮殿ちゃうやないかっ!!」と心の中で悲鳴に近いツッコミを入れつつ這うようにそのビルへ入り、ああ…浪費した時間と体力を返してほしい…宮殿じゃないのに宮殿て名前つけないで欲しい…としばしソファでぐったり。それでも最後の力を振り絞って展示室に入ると…!その絵の大きさ、迫力に圧倒され、ここでも息を呑む私。これは…スゴイ…!ムハのなんとも言えない優しいタッチと色合いはそのままに、スラブ人の過酷な歴史(←歴史苦手なのでよく分かっていませんが)を表す、人物の必死の表情や残酷な描写などなど、胸に迫るものがありました。いや道のりは遠かったけど(迷っただけだけど)来てよかった!途中絵の前のソファに座ってぼぉっとしたりしながらゆっくり2周くらいして堪能してきました。

 歩きすぎて棒のようになった足を引きずりながら、さっきの停留所からトラムに乗ってホテルの近くに戻ったんだけど、お土産の買い足しを思い出しいくつかお店を回ってたらあっという間に5時過ぎに。プラハ最後の夜、今夜も19時から教会コンサートなのでホテルに戻って休む時間はなく、でももう歩けない…ネロ…僕もう疲れたよ…と路地裏をヨロヨロしていたら一軒の小さなレストランがあり吸い込まれるように中へ。そしてビール(!)とソーセージを注文。もう椅子ごと床に沈みこんで行ってしまいそうな安堵感と疲労感にぐったりしていると早速ビール登場!コゼルという苦みの少ない銘柄、飲んでみたいと思ってたやつ!とグビグビ飲んだら意外にイケる!以前からビールの味が嫌い、と言う私に友人が「ビールは味じゃなくて喉ごし。勢いよく流し込め!」と言っていた意味が少し分かりました。歩き過ぎて乾いた喉に、グビグビビールの刺激が気持ちよく、なんと一杯呑み干せましたよっ!そしてソーセージも美味しかった!ふぅ…生き返った…♪

 今夜のコンサートはモーツァルトが弾いたオルガンがあることで有名な「鏡の礼拝堂」。両手にお土産ショッピングの袋を持ったまま突撃したら、入り口でタキシードのおじ様に微笑んで挨拶され、今までにないフォーマルな雰囲気にビビる。しかしめげずにヨタヨタと中に入り、その美しさにうわぁ!と感激。鏡たしかにたくさんありました。モーツァルトのオルガンはどれか分かりませんでした(←チェックが甘い) そして今回、小さな教会なのに編成はほとんどフルオーケストラ(ってよく知りませんが)、とにかくたくさんの楽器に歌手4人、その他合唱団みたいな高齢者たくさんで、ギュウギュウの演奏陣。始まるとやはり堂内に振りそそぐ音響ハンパなく、また4人の歌手と合唱団の声の迫力にも圧倒されました。元気よくソロを歌い上げる若い歌手4人も素晴らしかったですが、最後列の高齢合唱団の皆さんが、ドレスアップして誇らしげに頬を紅潮させ、曲の合間に嬉しそうに隣同士顔を見合わせたりしながら一生懸命歌う様子がとても印象的で、なんだか胸が温かくなるコンサートでした。

 ということでプラハ最後の夜は終了♪翌日は午前中部屋でパッキング→お昼頃チェックアウト。来る時に乗ったタクシーが「帰りも乗ってくれたら10%オフ」のチケットくれてたので(10%オフだと空港まで600コルナ=3600円くらい)、フロントでこの会社のタクシーを呼んでとお願いしたら、結構待たされた挙句「この会社のタクシーは混んでて捕まらないからホテルのを使え。空港まで800コルナだけど」と言われ思わず「ハッピャク?!」と白目で叫ぶ。「捕まらないとか絶対ウソだろ」というチェコへの不信感(不信の対象がデカいw)と800コルナへのトラウマ(罰金も800だった)に暴れ出しそうになりましたが、その気配を察知したのか「じゃ650にするから」と急にディスカウントされ、「じゃあ乗ってやらないことも無い」と偉そうに承諾したらホテルのタクシーがベンツで大はしゃぎ(←バカ)。不服そうな運転手に650コルナ支払い、プラハ空港からフランクフルト乗り換えで無事羽田へ帰ってまいりました。

 今回の旅行、久しぶりに海外一人で行きましたが、やはり一人だと外界との接触が全てダイレクトに来るし、一人で全部処理しなきゃいけないので、大変なこともあるけど充実感も倍増しますね。楽しかった!プラハは、滞在中目いっぱい歩き回りましたが飽きることなく、まだまだ時間が欲しかったくらいで、見どころたくさんの美しい街でした。去年のポルトガルに続いて「小さな国で路地裏まで楽しめるような〝歩き回り旅″がしたい」と選んだプラハ、そういった意味では大正解。ただ…もういい加減にせぇよと言われそうですがw、例の罰金の件に代表されるように「観光客をクイモノにする」感は否めず、チェコの「過去の」遺産には感動したけれど「現在の」状況にはガッカリ…という感じ。でもまあそこは割り切って、アブナイルールは事前にちゃんとチェックして行けば、観る価値は絶対ある世界遺産テンコ盛りの国だと思います。あとビール好きは何をおいても絶対行くべき!安いし種類豊富だし居酒屋楽しそう!

 ということでいよいよ(やっと?!)お別れの時間でございます。ノロノロと進み、長々と続いた旅行記にお付き合い頂きありがとうございました!ストラホフ修道院の図書室の写真、今もって感動醒めやらず、会社PCの壁紙にして毎日うっとりしてますので、ぜひアルバム見てみてくださいね~♪