ポルトガル旅行記 5/6日目夜~帰路 1/2(木)~1/4(土)

さてさて、ポルトガル最後の夜。

別行動をしていたロボエと待ち合わせたのは、カーサ・ド・アレンテージョというレストラン。リスボンアレンテージョ地方の郷土料理のお店らしいんだけど、何よりもガイドブックで見たお店の様子が素敵だったのでゼヒ行ってみたかったのです。アレンテージョ地方出身者の運営する会館の中にあるんだけど、その館内に一歩入っただけでもうなんか異空間。エキゾチックでレトロな雰囲気は、どこか知らない国に来たよう(ってその通りなんだけど)小さな噴水のあるロビーや、優雅なソファが並ぶウェイティングスペースなど美しい見どころ沢山で、レストランに入る前になんだか優雅な気分に。19:30で開店直後なので、店内はまだガラガラ。ポルトガルでは、みんなディナーへ繰り出す時間が遅く、お店が混むのは21時頃からなので、うちらはいつも開店と同時(19:00頃)にガラガラの店内に入り、2~3時間後に店の前の行列を縫って帰る、という感じでした。案内された席に座り物珍しげに周りをキョロキョロし写真をパチパチ。高い天井の店内に、壁のアズレージョが映えて美しい。

MENUを開き、まずは得意のVINHO VERDE!ほんとハマりましたねこのワインには。まあ帰国後も飲んでますけどね(笑)前菜は大好きなオリーブだったのでパクパク食べちゃう。これだけでワイン2本はイケるぜ。メインは事前に調べてあった「骨付きラムの煮込み」と、あとは昨日のバカリャウのコロッケまた食べたいねーと探したんだけど無く、結局バカリャウのソテーに。でもこれはまあ、普通でしたね。日本でも食べられそうな、塩ダラのソテーという感じ。一方スープで煮込まれたラム肉は、骨からホロホロ外れる柔らかい肉はもちろん、ラムのエキスが溶け出したスープにパンをつけて食べるともう止まらない美味しさ!!ロボエと顔を見合わせて「美味しいねー」とニコニコ至福の時間を過ごしていましたがここで事件発生!ラムを嬉しそうにもぐもぐしていた私の口から「ゴリッッッ!!」というあり得ない音が!固まる二人。自分の口から聞こえた恐ろしい音に思考停止になった私の前でロボエが怯えた顔で「な、何の音!?骨を噛んじゃった音?そうだよね?骨だよね?」と骨のことばかり言っていましたが、その尋常じゃない音の響きからうちら二人は薄々気づいていました。「これは『歯』だな」と(笑)そして黙ったまま静かに口の中を探っていた私がゆっくり取り出したのは、前歯!!!!!ポルトガル最後の夜に歯が折れたっ!!!おかあさーん!!と思わず数千キロ離れた日本のお母さんに呼びかけてしまうくらいの衝撃。といっても、まあ差し歯なんだけど、でも取れたんじゃなくて、見事に折れてたというのがスゴイ。どうやらラムの骨を前歯で思いっきり噛んでしまったようで、しかも噛もうと思って噛んでないので、変な角度で力がかかっちゃったんだと思います。こんな素敵なレストランで、折れた前歯を持って茫然とするドリフ顔もしくは抜け作先生顔の私。一気にテンションが下がり(っていうか突然の出来事に頭がついていかず)、優しいロボエが気を遣って「柔らかいタラを食べな?」とか「じゃがいも美味しいよ?」とか言ってくれるも「もういらない」としょんぼりwwwあとは全部ロボエに食べてもらったポルトガル最後のディナーでした。

折れた歯を大事にポッケにしまい、店を後にしたうちらは、最後の夜ということで周辺を散歩することに。冷たい夜風がワインで火照った頬に心地良い。そうして歩いているうちに私の中で動揺が治まっていき、代わりに湧き上がってきたのはとんでもない可笑しさ。ちょwwwポルトガルで前歯折るって!wwwとか、あの音!尋常じゃ無かったよねwww柔らかいタラ食べなってお婆ちゃんか!!wwwとかいって二人で腹を抱えてヒイヒイ笑いました。ああ今思い出してもほんと笑える。なんだかんだでポルトガル超楽しかったねー!と涙(←笑い過ぎの涙ね)を拭きながら言い合ううちらの前には、クリスマスイルミネーションの残る街並みがとても綺麗で、なんとも思い出深いポルトガル最後の夜となりました。

ホテルに戻ると、滞在中お世話になったスタッフのお兄さんがフロントに居たので、一緒に写真を撮ったり、明日のタクシーの手配をお願いしたりしたんだけど、私はもう前歯が無いのでしゃべりたくない!と駄々をこね(笑)、ここから帰国まではほぼロボエが対外交渉にあたってくれました(笑)ありがとうロボエ!部屋に戻りバスルームの鏡で自分の顔を見て再び爆笑。笑った顔を見てまた爆笑。ってきりがないわっ!ロボエにも「ニッ!」って散々やって笑わせて(笑われて?)「もう分かったから!」と言われる。帰り道はずっと「黙って微笑む人」になろうと心に決める。

次の朝、最後の朝食はここぞとばかりにパンをバクバク食べて大満足。そしてロボエはそのまままたお土産買いに外出。私は荷造り。そして11時半に二人揃ってチェックアウト。タクシーに乗り込み空港へ向かいながらロボエにお土産何買ったの?と聞いたらと「パン!」だって!!どんだけポルトガルのパンを気に入ったんだロボエ!まあでも確かに美味しかったです。ポルトガルのパン(←なんか語呂がいい)。
20分くらいで空港に着き、荷物を降ろしてもらうと運転手さんがにっこり笑って「12ユーロ(\1700)」と。みなさん覚えていますか?!着いた日に空港からホテルまで乗ったタクシーは怪しいカシャカシャ計算機登場のあげく17ユーロ(¥2400)だったことを!くっそーあいつやっぱりボッてたんだ!と今更ムカツク。しかしあんなに必死に計算機まで叩いて700円を上乗せって(笑)意気地なし!ってちょっと言いたい気もする(笑)まあでも考えてみれば、その国について初めてタクシーに乗る人が、その料金を安いとか高いとか判断できるわけないし、かといってボラれてたとわかっても、滞在中にそいつを探し出して糾弾したりするのは事実上不可能だし、やつらにとってはほんとに空港から乗る観光客なんてのはいいカモなんでしょうねー。

空港は結構な混雑で、やはり帰国ラッシュなのだなあと実感。といってもリスボン空港はそんなに大きくないので割とスイスイ搭乗口に着き、椅子に座ってたんだけど、ふと搭乗口の表示を見ると行き先が違う。私がパ二クッてえ?!なんで?!え?!ほら見てロボエ!と騒ぐも、ロボエ全く動じず、「ふーん」とか言ってのんびり持ち込み手荷物の整理とかしてる。小心者の私は一人でビビり、その辺を歩き回って正しい搭乗口を探そうとするもよく分からない。どうしよう!とフラフラ椅子に戻るとロボエがニコニコと「分かったよ!あそこに書いてあった!」と「搭乗口変更案内」みたいな紙を見つけてくれ、そこに移動し一安心。しかし予定時間を過ぎても全然搭乗できず、結局搭乗も出発も結構遅れました。滞在中あまり感じなかったけど、最後の最後に「ポルトガル時間」てやつを味わった感じでしたね。フランクフルト行ポルトガル航空の機内食はバサバサのサンドイッチとすっぱいリンゴ。一番美味しかったのは食後のチョコレート「twix」でした。ポルトガル料理は美味しかったのになぜ?!と思うも仕方ない(笑)twixは日本で探してるんだけどいまだ見つけられず。買えるお店知ってる方は教えてください♪

フランクフルト空港では相変わらずの広さ、分かりにくさに辟易したり、行きに見てから「帰りは絶対!」とロボエと誓っていた念願のソーセージを食べ感動したりしつつ(プリップリで超ウマかった!!)、無事にANAの成田行きに乗り込み帰って参りました。あそうそう、成田行きの便でまた搭乗口変更の憂き目に遭い、「もう搭乗時間過ぎてるから急いで探さないと!」と焦る私と、「いやいや搭乗開始は1時間後だからここで大丈夫だよ」とニコニコ笑うロボエ、という見たような一幕がありましたが、今回は私が正解で、二人で慌てて変更後の搭乗口を探し、無事乗り込みました。まあ、ある意味いいコンビなのかもしれませんね、うちら(笑)

そもそもポルトガルに何の夢も希望もなく(←言い過ぎ)ロボエの企画に乗っかって始まった旅行でしたが、結果的にはポルトガルは色々私のツボで、ポルトガル大好きになりました。自分だったら行先にポルトガルを選ぶ可能性はかなり低かったと思うので、ロボエに感謝。ロボエが惚れたパンに限らず、ジャガイモやイワシやバカリャウやタコやチーズやワインやあそうだ忘れちゃいけないナタも…全部美味しかったし、物価が安いのも素晴らしい。素朴で地味なんだけど、しみじみ美味しいねえという感じは、決して華美な装飾や凝ったデザインなどではないのに、なんだか懐かしい、可愛いと思ってしまう街並みにも通じる印象で、まあつまりはポルトガルという国が、そういう国なのでしょうね。せっかくヨーロッパ行くんだから、日本とかけ離れたあくまでもキラキラしたヨーロッパ感を求めます!という方には向かないかもしれませんが、こんなに離れた国なのになぜか感じる不思議な懐かしさや、噛めば噛むほど味の出るこの雰囲気を面白がれるタイプの方には、楽しみがいのある国です。大昔に日本と交流があったという背景もあるので、その辺の歴史をきちんと勉強して行けば、より一層楽しめると思います。

ということで、2月中には書き終えたいという目標をわずかにオーバーしましたが、ポルトガル旅行記、これにて<完>とあいなります(笑)
時期遅れで始まり、長々続いた旅行記にお付き合い頂きありがとうございました!