『娘は娘』  メアリ・ウェストマコット(アガサ・クリスティー)

みなさん、怖い目にあった時、ひどい仕打ちを受けた時、にっちもさっちも行かない状況に追い込まれた時、思わず口をついて出る叫びは何ですか?そうですね「おかあさーん!!」ですね。しかしこの本を読んだあなたは、もう無心にそうは叫べなくなるかもしれません。

お互いを想い合い、支え合い、穏やかに生きてきた母娘が、母の再婚や娘の結婚という大きな節目で少しずつ道を踏み外し、通じて合っていたはずの心はすれ違い、ねじ曲がり、いつしか二人をつなぐ糸は深い憎しみに染められていく…

発端を作るのは娘ですので、もちろん娘も悪いです。前半はお母さん側の気持ちで読むので娘すげームカつきます。でも後半のお母さんの巻き返しスゴイです。気持ちは分かるけど一旦落ち着こう?ね?お水もらう?一回お水もらう?って思います。
といっても母娘で刃物を持って刺しつ刺されつとか(!?)、ギャーギャー口汚く罵り合って大騒ぎとか、そんなことは一切起こりません。表面上はあくまでも上品で美しく、思いやりある言葉を掛け合ったりもする母娘なのであります。でもその奥底に透けて見える悪意の怖ろしさよ…ああさすがアガサクリスティー!素晴らしいっ!!
そんであれです。どん詰まりのクライマックス、いよいよ思いのたけをぶつけ合う母娘の対決がスゴイ。『この対決がスゴイ2013』があったら、間違いなくトップ3には入ります。(書かれたの1952年だけどね)武器も無く血も流れず、相手に触れさえしないけど、母の寝室で向かい合う美しい母娘に鳥肌&冷や汗必至!!

あぁやっぱり秋の夜長には鳥肌と冷や汗とハーゲンダッツですよね♪
ということで、おススメ本がある方はゼヒご連絡ください♪